横浜市立野毛山動物園(横浜市西区老松町63)で5月23日、世界最高齢のフタコブラクダ「ツガル」(メス・推定38歳)が高齢のため死亡した。
ツガルは青森県の観光牧場で生まれ、1982年12月18日に野毛山動物園に来園。2009年に、関節炎を患いながらも生命を全うしようとする姿が、高齢化の今の時代へのメッセージになっていると評価され、日本動物大賞「功労動物賞」を受賞。2012年に同園の営業部長に就任し、同年、世界最高齢記録(推定37歳)を更新。昨年12月に推定38歳の誕生日を迎え、今年3月には、横浜市西区から区の元気づくりに貢献したとして、動物としてはじめて「西区民顕彰」が贈られた。
ツガルは、人間に換算すると120歳位の大往生。健康維持のためにニンジンと一緒にサプリメント「コエンザイムQ10」を服用していた。約10年前に前脚が関節炎で曲がり、普段は座っていることが多かったが、餌の時間には前脚を折り曲げた状態で立ち上がり、来園者に元気な姿を見せていた。
ツガルは5月23日の午前より食欲がなくなり、好物の黒砂糖にも反応を示さないほどに体調が悪化。血液検査や点滴を行うなど手を尽くしたが、職員たちが見守る中、同日22時頃、静かに息をひきとったという。園内のフタコブラクダ展示場前には、6月20日まで献花台とメッセージノートを設置する。
生前のツガルは、「ラクダと思えない」と言われるほどの存在感があり、職員の話では、来園者の人生相談にのることもあったという。親子3世代にわたるアイドルでもあり、多くの子どもたちに愛されていた。25日の園内では、献花台を前に涙ぐむ娘に、「ツガルさんは天国に行ったのよ」と語りかける母親の姿も。
メッセージノートにはツガルへの感謝の言葉がつづられており、献花台にはツガルの好物であったリンゴや黒砂糖をはじめ、ツガルの似顔絵、花束などが添えられている。
同園の今村友維子さんは「ツガルがここまで長生きできたのは、皆さんに愛されてきたおかげだと思う。とても残念ですが、温かく見守ってくださった皆さんとツガルへの感謝の気持ちでいっぱい。これからも皆さんの心のなかに、野毛山動物園の『がばい婆ちゃん』が生き続けることを願ってやまない」と話している。
開園時間は9時30分~16時30分(入園は16時まで)。月曜休園(祝日の場合はその翌日)。5月は無休。入園料は無料。