横浜の中心部を通っていたかつてのハマの大動脈「横浜市電」の写真や、利用者の記憶を収集・保存している市民団体「しでんの学校」は6月22日、街歩きイベント「しでんの学校・校外学習第1弾ー麦田町」を行う。
横浜市電は、前身となる横浜電気鉄道が1904年に開業。第2次世界大戦終戦後、1950年代半ばから1960年代にかけて最も営業距離が長く、中区・西区・神奈川区・南区・磯子区の5区に路線を延ばした。しかし、その後、モータリゼーションの進行に伴う交通渋滞や横浜市交通局の財政難などにより、1972年3月に廃止された。
横浜市電の廃止から既に40年以上が経過しているため、アナログ写真のデジタル化や動画に残すだけでなく、今も残る路線跡を巡ってまちを観察したり、史料を分析したりするなど、研究の重要性を感じたメンバーが、「集める・残す・伝える」ことを活動の軸に「しでんの学校」プロジェクトを4月に立ち上げ、準備を進めてきた。
まち歩きイベントの第1弾となる今回は、中区麦田町を訪れる。麦田町には1911年から1972年まで市電が走っており、車庫もあった。また、1901年に横浜市へ編入された由緒ある町であり、麦田町に長く住む市民も多い。
イベントでは、横浜市電の路線跡などを巡るコースを歩き、後半は市電の思い出を地元の銭湯「桜湯」の方に当時の様子を聞いた後、麦田町町内会館(横浜市中区麦田町1)で地図や資料を囲んで麦田の歴史などを振り返る。
主催する「しでんの学校」代表の大西智樹さんは「麦田町は、古くからの市街地です。市電が走っていた頃から変わらない建物や史跡が少しずつなくなっています。また、横浜市電を利用した世代の方も貴重な存在になりつつあります。まち歩きを通じて、実際に見たり聞いたりしながら、当時の様子を体感出来る貴重な機会です。ぜひ参加して下さい」と話している。
「しでんの学校」は、「横浜市電の記憶を記録に」をテーマに、歴史や鉄道などに関心がある会社員、学生らが2013年8月に結成した市民団体。首都大学東京(東京都日野市)准教授の渡邉英徳研究室に所属する学生が、GoogleEarthを基盤に制作した東京都電の写真アーカイブ「とでんちゃん」に触発されて「しでんちゃん横浜プロジェクト」がスタートした。
開催時間は13時30分~17時。参加費は500円。定員25人。詳細はしでんの学校ホームページで。