アニメーションディレクターの伊藤有壱さんが監督し、国内外から高い評価を得た短編アニメーション作品「HARBOR TALE(ハーバーテイル)」の続編「Blue Eyes ー in HARBOR TALE(ブルーアイズ イン ハーバーテイル)」が完成し、6月20日にテレビ神奈川本社1階ホール(横浜市中区太田町2)でプレミア試写会が開かれた。
ハーバーテイルは、横浜がモデルの「Y」という名の港町を舞台に、主人公の「赤いレンガ」がまちの魅力を発見する短編アニメーション作品。1作目「HARBOR TALE」は2011年に制作。コマ撮り映像とCGを組み合わせた「ネオクラフトアニメーション」技法を駆使した映像表現が世界中の映画祭で評価され、2012年には、チェコの歴史ある国際映画祭「ZLIN FILM FESTIVAL」のアニメーション部門で最優秀賞と観客賞を同時受賞している。
続編となる最新作「ブルーアイズ イン ハーバーテイル」は、港町「Y」の片隅のバーに住むよわい130年を超えるビスクドール(声・川村万梨阿さん)が主人公。命が芽生え動き出したビスクドールが、一人暮らしの老女(出演・五大路子さん)を「たった1人のお客様」と呼び、密やかなステージを繰り広げる。新たな映像表現と世にも不思議なドラマの交錯が見どころ。上映時間は7分40秒。
ビスクドールは、撮影専用の人形を今回のアニメーションのために制作。一人芝居に定評のある五大さんに出演を依頼し、製作期間1年半をかけて、今シリーズとしては初めて生身の人間とクラフトアニメの共演が実現した。
20日に開かれたプレミア上映会では、作品のコンセプトにもなっているバーをイメージした舞台で、監督の伊藤さんがあいさつ。映画製作に関わった人形作家の山本真由美さんやアニメーターの井上二美さん、声優の川村万梨阿さん、そして、今回生身の人間として唯一の出演を果たした女優の五大路子さんが登壇した。
伊藤さんは、作品上映後「この作品は今後、世界中の映画祭に旅立たせる予定。世界中の人に港町『Y』を伝えることで横浜が広がっていく。作品を作ることで生まれる大きな循環を作り出していきたい。多くの皆さんに見ていただいて、この作品を船出させてもらいたい」と話した。
伊藤有壱さんは、1962年生まれのアニメーションディレクターで、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻教授。立体アニメーションを得意とするアニメーションスタジオ「I.TOON」(中区海岸通4)主宰。これまでに、NHK教育テレビの「ニャッキ!」やNHKみんなのうたの「グラスホッパー物語」、ミスタードーナツのテレビCM「ポン・デ・ライオン」などを手がけてきた。
最新作「ブルーアイズ イン ハーバーテイル」は、2014年夏劇場公開予定。横浜では、シネマジャック&ベティ(中区若葉町3)で8月2日~15日に上映を予定している。