シェアオフィス「さくらWORKS<関内>」(横浜市中区相生町3)で10月23日、建築家や研究者、市民が集まり「旧三井物産株式会社横浜支店倉庫の保存を考える緊急シンポジウム 第2弾」が開催される。
取り壊し計画が浮上している日本大通の「旧三井物産横浜支店倉庫」
同シンポジウムは、横浜赤レンガ倉庫(1911~13年)よりも前の1910年(明治43年)に完成し、日本国内では最初期の鉄筋コンクリート工法を採用した横浜最古の倉庫建築「旧三井物産株式会社横浜支店倉庫」(旧日東倉庫、中区日本大通14)の保存を訴える「横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)」(中区相生町3)が主催。8月に開催したシンポジウムの第2弾となる。
前回のシンポジウム以降、市民団体や専門家らによる保存要望書の提出や、倉庫を中心としたまち歩きなどが行われているが、保存活用に向けた具体的な道筋は立っていないため、今回は参加者と一緒に活用方法を考える。
地上3階地下1階建てで、柱と屋根に鉄筋コンクリート、壁はレンガ、床には木を用いた同倉庫と、隣接する「KN日本大通りビル」(旧三井物産横浜ビル)を昨年購入して所有する不動産会社ケン・コーポレーション(東京都港区)が、建物の新たな活用方法を検討しており、倉庫については、取り壊す計画だという。
「旧三井物産横浜ビル」は、国内初の全鉄筋コンクリート造の建造物。2つの建物は関東大震災、横浜大空襲を免れて明治期当時の姿を残しており、日本建築学会関東支部では「建築史的、技術史的に極めて価値が高い。横浜開港の歴史を象徴する日本大通りの都市景観を構成し、広く市民に親しまれてきた」と価値を評価している。
今回のシンポジウムでは、コメンテーターに、神奈川大学名誉教授の西和夫さんを迎え、登壇者に吉田鋼市さん(横浜国立大学名誉教授)、堀勇良さん(建築史家)、水沼淑子さん(関東学院大学教授)、鈴木伸治さん(横浜市立大学教授)、大野敏さん(横浜国立大学大学院教授)など、まちづくりの研究者や建築家、横浜の近代建築史の専門家らが「現状と保存」「建築構法の特徴」「歴史的価値」「まちづくり」「世界のコンクリート史」という多様な視点から、参加者と共に倉庫の活用・保存を提案する。
主催する横浜歴史資産調査会 常務理事の米山淳一さんは「旧三井物産株式会社横浜支店倉庫は絹の輸出で発展した横浜の宝と言ってもいい。前回のシンポジウムでは、取り壊しが計画されている倉庫の価値や意義について話をした。今回はいかにしてこの貴重な建物を保存していくかについてディスカッションしたい」と話している。
開催時間は19時から21時まで(18時30分開場)。定員100人。参加費無料(申込不要)。詳細・問い合わせは「横浜歴史資産調査会」ホームページから。