神奈川県内の農産物セットにして消費者に届ける食べ物付きメディア「神奈川食べる通信」が11月22日、創刊された。28日には、キックオフイベントが、地産地消をコンセプトにしたカフェレストラン「Gohan&Cafe 80*80(ハチマル・ハチマル)」(横浜市中区太田町2)で行われる。
「神奈川食べる通信」編集長は、「80*80」を運営する「まごころフードシステム」代表の赤木徳顕(あかぎ・とくあき)さん。赤木さんは、都市農業を身近な消費者が応援したくなるような情報の発信を目指している。
「神奈川食べる通信」は、タブロイド判・カラー16ページで隔月に発行される。税・送料込みで2,980円で、毎号特集となる「農産物」が同時に送られてくる。購入者は「通信」を読みながら、その農産物が育つまでの農家の取り組みを知ることができる。また、県内で地産地消に力を入れるカフェ・レストランなどの調理人が、旬のレシピを紹介するコーナーも設けた。
赤木さんがこの「神奈川食べる通信」を発行したきっかけは、2014年8月に目にした雑誌の記事。そこには、東日本大震災で打撃を受けた被災地の農家を支援する「東北食べる通信」の編集長で、NPO法人「東北開墾」代表理事の高橋博之さん(岩手県花巻市在住)が取り上げられていた。
農業と製造・商業が連携し、農村再生を目指す「6次産業」プランナーとして活動していた赤木さんは、「世直しは食直し」「分断された生産者と消費者を情報でつなぐことが、1次産業再生のカギ」という「東北食べる通信」のコンセプトに共感し、高橋さんに連絡をとり、9月中に創刊を決めて取材や農産物の手配に動き始めた。
サポートしたのは、青葉区でエコメディアを運営するNPO法人「森ノオト」理事長で編集者の北原まどかさん、グリーンドリンクス横浜など環境イベント運営も手がけるデザイナー集団「NOGAN」、フォトグラファーであり、食卓研究家でもある新田理恵さん(NOSIGNER)。いずれも横浜に住み、食と人とのかかわりを大切にしながらクリエーティブな仕事をしているメンバーが、赤木さんを支えた。
創刊号で特集した農産物は、平塚市の大野地区で栽培されている「幻のサツマイモ・クリマサリ」。栽培する農家のインタビューやレシピが紹介されている。「通信」購入者には、300グラム~400グラムのクリマサリと、「80*80」のシェフ・菅千明さんが作ったクリマサリのコンフィチュール(80グラム)が同時に届く。
このほか、赤木さんと高橋さんの対談、地方の農業と都市住民の橋渡しをしている「えと菜園」代表の小島希世子さんの紹介など、神奈川の農業、都市の暮らし方をじっくりと考えさせる記事が掲載されている。
編集長の赤木さんはこの通信をきっかけに、地域で農業を支える「地域支援型農業」=コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー(CSA)=に関心ある人たちのつながりを築いていきたいという。「神奈川にも多様な農産物があることを伝え、味わってもらいながら、農家と消費者、人と人とを結びつけていきたい」と話している。
28日13時30分からは創刊を記念し、80*80で「神奈川食べる通信 発刊記念記者会見および懇親会」を開催する。編集に携わったメンバーに加え、岩手県にいる「東北開墾」の高橋さんとのインターネット中継もはさんで、神奈川の地産地消にかかわる人たちのつながりを深める。また、12月2日19時30分から同所で購読者を対象とする読者座談会も開催する。
「神奈川食べる通信」次号(2015年1月号)の特集は「三浦大根」。問い合わせ・申し込みは「神奈川食べる通信」ウェブサイトで受け付けている。