3月に休館した伊勢佐木町のミニシアター「横浜シネマリン」(横浜市中区長者町6)が、12月12日に再オープンする。
横浜シネマリンは、1954年に花月映画劇場として開館し、1963年に閉館。翌1964年に劇場名を「イセザキシネマ座」としてオープン。その後、オーナー交代を経て1989年に劇場名を「横浜シネマリン」に変更。近年の劇場デジタル化による影響などで経営不振に陥り、今年3月に休館していた。
閉館の危機に追い込まれる中、地元の映画文化を継承する「劇場の再生プロジェクト」が発足。「横浜に映画ファンの思いが反映される映画館をつくる」ことを目標に活動を続けている映画サークル「横浜キネマ倶楽部」(中区相生町1)に所属する八幡温子さんが、完全自費による「横浜シネマリン」の再生プロジェクトを立ち上げ、今回の劇場存続にこぎつけた。八幡さんのほか、岩崎敬さん(内装・照明デザイン)、堀三郎さん(映像・音響設計)、西村協さん(番組編成)が同プロジェクトメンバーに加わる。
再オープンに伴い、今年9月より老朽化していた築60年のビルの内装工事を開始。席数を165席から102席に減らし、2回り大きいスクリーンを導入、照明を新装し、女性トイレを増やした。また、「肩のこらない自由に浸る空間」作りを目指し、開放感あるエントランスと待ち合いスペースも設けた。
横浜シネマリン代表の八幡さんは「映画鑑賞者の目線で『観たい映画を地元・横浜で観たい』という気持ちから、劇場の再生プロジェクトを立ち上げた。新生『横浜シネマリン』は映像・音響機器をデジタル化し、35ミリフィルムも上映可能な劇場に生まれ変わる。映画を愛する老若男女を巻き込み、一緒になって新しい拠点を作り上げ、地域を盛り上げていければ」と話している。
オープニングメーン作品は、女優ジュリエット・ビノシュさんの最新作「おやすみなさいを言いたくて」(2013年)。12月13日からビノシュ特集として、「汚れた血」(1986年)、「ポンヌフの恋人」(1991年)、「夏時間の庭」(2008年)、「トスカーナの贋作」(2010年)を上映する。今後はジャンルを限定することなく、横浜の地域性も取り入れたバランスのよい作品編成を目指していく。
小津安二郎監督の誕生日で、命日でもある12月12日には、オープニングイベントとして、サイレント映画ピアニスト・柳下恵美さんの伴奏付きで青春コメディー「青春の夢いまいづこ」(1932年、小津安二郎監督)を上映する。
上映スケジュールなど詳細はホームページで。