三溪園(横浜市中区本牧三之谷58)で2015年1月1日から4日間、お正月イベント「三溪園で過ごすお正月」が開催される。
包丁式は食材に手を触れずに箸と包丁のみで魚や鳥をさばく伝統的な儀式
同園の創設者・原三溪が自らの居宅として建て、庭園の造成にあたりその足がかりとなった「鶴翔閣(かくしょうかく)」(横浜市指定有形文化財)の内部を特別公開し、建物内の楽室棟で日本の伝統芸能を日替わりで上演する。
鶴翔閣(1902年建築)は、三溪が子供たちと暮らした延床面積約950平方メートルの近代和風建築で、その名称は鶴が飛翔(ひしょう)する姿を思わせる外観からとったと言われている。当時、横山大観や前田青邨(せいそん)、和辻哲郎など多くの文化人が出入りしており、鶴翔閣は日本近代文化の醸成に関わった文化サロンとしての役割も果たしていた。
日替わりイベントは、「アトリエ筝こだま」による筝曲演奏(1日)、横浜萬屋心友会・興禅寺雅楽会が出演する「包丁式」(2日)、日本古来の伝統手品を継承する北見翼さんが音楽に乗せて手妻(てづま)を披露する「和妻(わづま)」(3日)、横浜五人囃子の会による「能楽」(4日)。包丁式では、式題「宝船之鯛」のもと、食材に手を触れずに箸と包丁のみで魚や鳥をさばく伝統的な儀式が行われる。
また、園内の古民家「旧矢箆原(やのはら)家住宅」では、飛騨の正月飾り「花餅」を展示(2015年3月上旬まで)。花餅は、冬の飛騨地方で古くから伝わる風習で、その年の豊作を祈り無病息災を願うための行事として行われている。
三溪園・広報担当の吉川利一さんは「今年話題となった富岡製糸場を三溪園創設者の原三溪が36年間も所有していたことをご存知でしょうか。鶴翔閣は、この製糸場入手の年に造られた建物。ぜひこの機会に世界遺産とつながる歴史に触れてみては」と話している。
鶴翔閣の公開時間は9時~16時。開園時間は9時~17時(入園は16時30分まで)。入園料は大人=500円(市内在住65歳以上無料)、小学生=200円。12月29日~31日は休園。2015年1月4日まで。