象の鼻テラス(横浜市中区海岸通1)で3月17日から、フードアーティスト・中山晴奈さんの個展「KAN-BUTSU」が開催されている。
同展は、クリエイティブな街づくりを推進する世界各地の港町と文化交流を図る「ポート・ジャーニー・プロジェクト」の一環。メルボルン、サンディエゴ、ハンブルクに続く4都市目の交流先、スイス・バーゼルに派遣された中山さんが、現地で滞在制作した乾物に加えて新たにリサーチした神奈川の食材を使った乾物を素材に使った作品を展示している。
中山さんは、1980年千葉県生まれ。筑波大学、東京芸術大学修了。美術館でのワークショップやパーティーのスタイリングをはじめ、全国各地の自治体と資源発掘や商品開発などの食を通じたアートの制作やコミュニケーションデザインを行う。2014年11月に藤沢市にオープンした、レーザーカッターや3Dプリンターなどのデジタル工作機器を備えたシェアキッチン「食とものづくりスタジオFERMENT(ファーメント)」のディレクターも務めている。
今回の交流企画では、スイスと日本の国交150周年を記念して日本にフォーカスしたプログラムを展開したバーゼルの文化イベント「CULTURESCAPES」に合わせ、バーゼルの屋内マーケットで江戸時代の天ぷら屋台とスイスの野菜やフルーツ、サラミ、チーズなどを干したインスタレーションを実施。制作した乾物を使って天ぷらやスープを提供する。
22日には、乾物を使ったモビールを作るワークショップ(13時~15時、参加費500円)も開催。29日には、2月にチェコのピルゼンで滞在制作を行った松下裕子さんと樫村和美さんとのトークイベント(14時30分~16時)も行う。
中山さんは「ドイツやフランスにも隣接し、世界的な製薬会社なども集まるバーゼルは、アイデンティティーについて考えさせられる場所で、地域に入っていくのに苦労した。食の作品は保存するのが難しいが、日本に持ってくるために乾物にした」と話している。
開場時間は10時~18時。入場無料。31日まで。