横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3)で、ニューヨークを拠点に活動する現代美術作家・蔡國強(ツァイ・グオチャン)さんの展覧会「蔡國強展:帰去来」が開催されている。
蔡さんは、中国福建省泉州市出身、ニューヨーク在住。「爆発のアーティスト」とも称され、中国の文化・歴史・思想に着想を得ながら、火薬の絵画、独創的な花火、ランドアート、インスタレーションなど多義的な視点による作品を手がけている。2008年の北京オリンピックでは、開会式・閉会式の視覚特効芸術監督として花火の演出を担当し、世界の注目を集めた。
同展は、国内では7年ぶりとなる大規模な個展。約40メートルの等身大の99匹の狼の群れを展示する、近年の代表作「壁撞き(かべつき)」(日本初公開)のほか、横浜の歴史やゆかりの人物の取材を経て、横浜美術館のグランドギャラリーで滞在制作した火薬絵画「夜桜」や、横浜美術大学との協働で制作したテラコッタによるインスタレーション「朝顔」などの新作を展示する。
そのほか、関連イベントとして、学芸員によるギャラリートーク(7月31日、9月4日・11日・16日・18日)、横浜美術館館長の逢坂恵理子さんによる「夜の美術館でアートクルーズ」(8月29日、9月9日)も。
蔡さんは「この展覧会に駆けつけてくれた多くの友人をはじめ、横浜美術館のスタッフや花火師、地元の学生。そして、日本の美術界、わたしを育ててくれたアジアの土地と文化に感謝している。今回の展示タイトル『帰去来』に込めた思いが、現代社会へのメッセージとなれば」と話している。
開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで、夜間開館日の9月16日・18日は20時まで開館)。木曜休館。チケット(当日)は、一般=1,500円、大学・高校生=900円、中学生=600円、小学生以下無料。10月18日まで。
蔡さんは、上海戯劇学院で舞台美術を学んだ後、1986年末に来日し、筑波大学・河口龍夫研究室に在籍。東京、取手、いわきに滞在しながら創作活動を開始した。日本滞在中に、実験を重ねて火薬の爆発による絵画を発展させ、一躍、内外の注目を浴びる。日本での約9年にわたる創作活動を経て、1995年以降はニューヨークに拠点を移し、世界を舞台に創作活動を続けている。