ミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」(横浜市中区若葉町3)が12月21日、開館25周年を迎え、記念祝賀会が開かれた。
祝賀会は一般向けのチケットも発売され、多くのファンでにぎわった
同館は、1952年に開館した前身の「横浜名画座」から1991年にリニューアルオープン。2005年2月には経営する中央興行の廃業で隣接する同系列の「横浜日劇」と共に閉館したが、半年後に別会社により再開、2007年3月から現支配人の梶原俊幸さんらが引き継いだ。単館系の新作ロードショーを中心に、「ヨコハマ浅野フェスティバル」といった監督・俳優特集や「横浜中華街映画祭」をはじめとする同館内外での映画祭なども多数企画し、舞台あいさつなどのイベントは年間100回近くに上る。
祝賀会では、100人を超える映画関係者やファンが、同館の歴史紹介や短編特別上映を楽しんだ。有料入場者数は、2007年当初から10年で約4倍に。副支配人の小林良夫さんは「今考えると、前の会社は大変だったから自分たちに声をかけたのではないかと思う。引き継いで10年しか経っていないが、この場所に映画館が残っていけるように努力していきたい」と振り返った。
また、数々の映画・演劇のポスターを手がけた中区在住のグラフィックデザイナー・小笠原正勝さんが編集長を務める映画と映画館の本『ジャックと豆の木』も創刊。同館の25年の歩みや国内各地の映画館関係者による座談会、俳優・監督のインタビューなど、映画を作る人だけでなく、「紹介する人」や「観る人」にもスポットを当てた記事が詰め込まれている。
今年9月には、開館以来使用してきた劇場シートの入れ替えを実施。パリ・オペラ座やカンヌフェスティバルホールでも使用されているフランス・キネット社製のシートにリニューアルされた。旧シートは希望者に譲渡し、カフェやアトリエで活用されているほか、吉祥寺に来春オープン予定のシネマカフェ「ココロヲ・動かす・映画館◯」内でも使用される予定。