三溪園(横浜市中区本牧三之谷58)で2017年1月1日から3日間、お正月イベント「三溪園で過ごすお正月」が開催される。
会場は同園の創設者・原三溪が自らの居宅として建て、庭園の造成にあたりその足がかりとなった横浜市指定有形文化財「鶴翔閣(かくしょうかく)」。内部を特別公開し、建物内の楽室棟で日本の伝統芸能を日替わりで上演する。
鶴翔閣(1902年建築)は、三溪が子供たちと暮らした延床面積約950平方メートルの近代和風建築で、その名称は鶴が飛翔する姿を思わせる外観から取ったと言われている。当時、横山大観や前田青邨(せいそん)、和辻哲郎など多くの文化人が出入りしており、鶴翔閣は日本近代文化の醸成に関わった文化サロンとしての役割も果たしていた。
同建物は、南東からの光が充分に入るようにつくられた楽室棟をはじめ、接客の部屋として使われた広間、書斎棟、茶の間棟・仏間棟、白雲邸に蔵を新設するまで美術品を収蔵していた蔵、客間棟など、居住用の棟のほかさまざまな機能の棟からなっている。
日替わりイベントは、筝曲演奏(1日)、包丁式(2日)、和妻(3日)。各催事は状況により入場制限もあり。
園内の三溪記念館では、開園110周年記念企画展「会所―三溪園の建物と花―エバレット・ブラウン湿板光画展」が開催中(2017年3月12日まで)。写真家エバレット・ブラウンは、日本の風景や伝統の文化・技術をテーマに、湿板光画という古くからの撮影技法で創作活動を行っている。同展では「会所」をテーマに、園内のいけばなをしつらえた庭園や建築内部をとらえた作品約15点を紹介する。
三溪園広報担当の吉川利一さんは「鶴翔閣の正月公開は修復が終わった翌年から数えて17回目。近年はウエディングでの利用も増えたこともありより注目されている。この機会に近代日本の芸術家が集った原家の住まい『鶴翔閣』の内部をゆっくりご見学いただけたら」と話す。
鶴翔閣の公開時間は9時~16時。開園時間は9時~17時(入園は16時30分まで)。入園料は大人=500円(市内在住65歳以上無料)、小学生=200円。12月29~31日は休園。2017年1月3日まで。