KAAT 神奈川芸術劇場(横浜市中区山下町281)で、4月13日から演出家・宮本亜門さんによる新作舞台「耳なし芳一」が上演されている。
同公演は、2011年からKAAT初代芸術監督の宮本亜門さんが展開している「NIPPON文学シリーズ」第3弾。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)原作の「耳なし芳一」を舞台化したもので、演出は宮本さん、台本は劇団タカハ主宰で若手脚本家の高羽彩さんが担当している。
小泉八雲はアイルランド人の作家、教育者、ジャーナリストで、日本文化を世界に紹介したことで知られている。1890年4月4日に雑誌社の特派員として横浜に到着した。宮本亜門版「耳なし芳一」では、小泉八雲が登場し、平家物語の弾き語りを得意とする盲目の琵琶法師・芳一との会話を軸に物語が展開する。古典劇のほか、映像や人形による演出も交えながら、八雲が世界を巡った末にたどり着いた、目に見えないものと共存する日本の良さを表現している。上演時間は約90分。
出演者は、山本裕典さん(芳一役)、安倍なつみさん(安徳天皇/子供役)、橋本淳さん(佐吉役)、益岡徹さん(小泉八雲役)ほか。15日の公演終了後は山本さんと宮本さん、17日の夜公演終了後には、安倍さんと橋本さんを迎えたアフター・トークが行われる。
山本さんは「琵琶の生演奏は初めての挑戦だが、今回弾く琵琶は、音楽性というよりは運動神経を必要とする楽器だと聞いている。僕は運動が得意なので、その部分で助けられているのかも知れない」とコメント。また、宮本さんは「芳一が体にお経を書く場面をはじめ、大胆で驚くようなシーンが多い。見えないものをあえて舞台に登場させることで、我々が見えないものと共に生きているという事が伝われば」と話している。
チケットはS席8,500円、A席6,500円。公演時間は日程による。問い合わせは神奈川芸術劇場(TEL 045-662-8866 :チケットかながわ)ほか。4月21日まで。