世界で初めて「夜景」をテーマにしたミュージアム「横浜夜景ミュージアム」が2月1日~3月31日までの期間限定でオープンする。場所は展望フロアとして日本一の高さを誇る、横浜ランドマークタワー69階展望フロア「スカイガーデン」。眼下にはみなとみらいのビル群や横浜港の大パノラマが広がり、遠くには東京タワーや富士山まで一望できる、まさに夜景の眺望を楽しむにはうってつけの施設だ。その展望フロアをミュージアムとして活用する。
横浜ランドマークタワー 日本最高、世界唯一。横浜に「夜景」のテーマパークが登場!都市夜景、湾岸夜景など多様な顔を持つ現在の横浜夜景をタイプ別に整理するだけではない。西洋のガス灯の導入から始まり、時代とともに変遷していった横浜夜景の流れをわかりやすく紹介するコーナーも設ける。歌川(安藤)広重が描いた横浜の浮世絵と、同じ場所の現在の夜景の写真を並べて展示し、当時の様子と比較するという。また、かつての憧れの夜の町「ザキ」のバーラウンジを現代風にアレンジするなど、同じ夜景でも空間演出を施すことで異なる夜景に見えてくるような仕掛けも試みる。ミュージアムには、展望フロア入場料のみで入ることができるのが嬉しい。通常料金で、夜景を知り、見て、学んで、体験することができるのだ。
館長としてミュージアムをプロデュースするのは、世界でも唯一の夜景評論家・丸々もとおさん。これをきっかけに、一歩踏み込んだ夜景の楽しみ方を知ってもらいたいという思いがある。「空気が澄んで遠くの景色まで見渡せる冬は、夜景が一番綺麗に見える季節です。でもベストシーズンなのに、冬は展望施設に人が入らない。本当にもったいないと思います。この展望施設と一体となったミュージアムでは、国内屈指のナイトビューを誇る横浜の夜景を、より楽しく鑑賞するためのコツとポイントをわかりやすくまとめています」。この冬、「横浜夜景ミュージアム」は横浜観光には欠かせないスポットになりそうだ。
夜景評論家 丸々もとおの SUPER YAKEI SIGHT All About 夜景 ガイド:丸々もとお横浜のイメージ調査をすると、「海」「港」「夜景」という言葉がよく出てくる。横浜が夜景の綺麗な都市であることは広く知られ、実際に首都圏から多くのカップルが夜景を楽しむために横浜を訪れている。横浜の夜景が人を惹き付ける理由を、丸々さんに聞いた。
まず、横浜は横浜駅~山手・本牧までの狭いエリアに主要な夜景スポットが集中していて観光しやすいことが挙げられるという。「東京は夜景スポットが多い反面、各地に点在しているから一度に見れる場所は限られます。全国的に見てもこれだけまとまっているのは他にない」と話す。
日本夜景遺産そして、横浜は多様な顔を持っていることを指摘する。「都市機能が集中する大都市であると同時に、人が生活する街でもあり、他所から来た人が憩う港町でもある。だから、夜景のバリエーションも多い。横浜駅やみなとみらいのような近代的なビル群もあれば、赤レンガ倉庫をはじめとする歴史的建造物もライトアップされ、新旧が混在しているのも珍しい」。
横濱ブリリアントウェイ 横浜夜景スポット 横浜夜景50選(横浜ナイトライフ)横浜は景観という視点からデザインされた都市である。それは、横浜市の一連の都市デザインがグッドデザイン金賞に選ばれたことが証明している。「ランドマークタワーという日本一高い展望フロアから全ての夜景を見下ろすことができるし、大桟橋や山下公園などのみなとみらいから離れた低い場所からでも夜景をしっかりと見ることができるように街が作られている。また、大都市では派手な看板や店舗の照明が混在した夜景が多いなか、街でガイドラインをつくり景観に統一性を持たせ、コマーシャリズムの集積としての派手な夜景ではなく、洗練された落ち着いた夜景を作り出している」。それぞれの街ごとにネオンの色に統一感があるのも横浜の特徴だと丸々さんは語る。
「横浜市の一連の都市デザイン」がグッドデザイン金賞に「横浜の夜景のカラーは青とオレンジ色」と語る丸々さん。「空と海が一体化した薄暮の臨港パークや新港パークなどの湾岸夜景と、オレンジ色に輝く本牧埠頭の夜景――この夕刻の水辺の青色で始まり、深夜の埠頭のオレンジ色で終わる、その間の時間に様々な色があるのが横浜の夜景」。
夜景スポットといえばカップルたちが集まる場所だが、横浜がナイトビューデートのスポットとして依然として人気が高いのは何故なのか。そこには「水辺の効果」と「暗闇効果」という横浜ならではの秘密があると丸々さんは言う。
海と港がある横浜は、街のなかに水辺が豊富にある。「夜景は水面に写ると、一層綺麗に見えます。反射によって灯りの量が2倍となり、色が持つ心理効果も2倍になります。水と光のゆらぎは気持ちを落ち着かせ、安らぎを与えてくれます。また、心理学的には水の前に佇むと、相手との新密度が上がるという効果があります。また、波の音や水の音、船の汽笛の音など、横浜ならではの『サウンド』も癒し効果があります」。
また、横浜は、街のなかにカップルたちがリラックスできる適度な暗がりも点在している。これは心理学で言う「暗闇効果」を生む。「暗い場所で佇んでいると、お互いの心を語り合いやすくなり、その結果、心を通わせやすくなります。修学旅行の夜に語り合って仲良くなるのと同じですね」。赤レンガ倉庫周辺や大桟橋、山下公園、汽車道などは観光スポットなのに灯りを抑えてほの暗くなっており、カップルたちの憩いの場となっている。
そんな横浜ナイトビューデートをさらに盛り上げてくれる画期的な新サービスが、「夜景認定シート」だ。これは市内の夜景が綺麗に見える飲食店のなかでも、優れた夜景眺望を有するシート(席)を横浜観光コンベンション・ビューローが認定するというもの。認定シートのある店は現在19店で、店の情報は「横濱ブリリアントウェイ」のWebサイト、携帯サイト、パンフレットに掲載されている。
横濱ブリリアントウェイ 横浜夜景ベストシート店のなかでも最も夜景を堪能できるベストなシートは、丸々さんが実際に店舗に足を運び、レイアウトや照明の映りこみ、視点の高さなどをチェックして選んだという。「実は、今回選んだシートのなかには、あえて窓際の席を外して選んだシートもあります。窓際の席のなかには、窓に背を向けて座るようにシートを配置しているという“落とし穴”もあります。二人が並んで夜景を見ながら食事するために、あえて窓際から一つ内側の席やカウンター席を選ぶというテクニックも知って欲しいですね」。相手のためにお店で一番夜景が綺麗に見える席を予約したとなれば、モテ度も上がるというもの。デートの際にはぜひとも活用したい。
さらに、「夜景認定シート」のあるお店で各種特典が受けられる「横濱ブリリアント・ラリー」が1月26日~2月25日まで開催される。これをきっかけに、横浜夜景の魅力を「ベストポジション」で堪能してみてはいかがだろうか。
横濱ブリリアント・ラリーまもなくスタート! ベスポジで楽しむ横浜夜景レストラン!この冬、新たなイルミネーションをづくりがスタートした。これまで特別なライトアップがされていなかった山下公園通りの樹のもとに「光のボール」を設置して、「光のプロムナード」をつくるというものだ。これは横浜が開港150周年を迎える2009年に向けた取り組みで、市内事業者や市民の協賛を得て「光のボール」を増やしていくというもの。ワークショップに参加すると光のボールにメッセージや絵を描いて設置することができる。今年の設置期間が終わってもボールは保存され、来年度、再来年度も同じ樹のもとに同じボールを設置するという。
横浜光のプロムナードキャンドルを包む筒などにメッセージや絵を描くイベントは5、6年前からあるが、電飾のなかでは単価が安く電気代も安価なLEDを使い、耐久性の高いボールを採用した点が新しい。火を使わないので管理コストも抑えることができ、単発のイベントではなく、ロングスパンのプロジェクトとすることが可能となった。現在、光のボールは600個ほどで、光のプロムナードができているのは山下公園通りの半分ほどの距離だが、2009年に向けて開港広場や象の鼻まで延ばしていく予定だ。この光のプロムナードの整備により、横浜らしさの残るエリアを盛り上げるとともに、エリアの回遊性を高める狙いだ。
丸々さんは、「グランドデザインを立てて進めて行く横浜らしい企画。1年後にメッセージを書いたボールを見て、『そういえば、去年はこういうことを書いたな』と振り返ることができる。タイムカプセルのように、未来の自分や二人向けてメッセージを書くという、参加している人の心の中に灯りをともすような面白さがある」と、光のプロムナードの魅力を語った。
横浜市経済観光局観光交流推進課の吉田さんは、プロジェクトを構想した経緯をこう語る。「光のイルミネーションは都内にもたくさんありますが、ナショナルブランドがスポンサーになっていてやっているものが多い。いかにゴージャスに見せるかという競争ではなく、多くの人が参加できて、派手さとは別の魅力が生まれるようなスタイルを模索したところ、この『光のボール』にたどり着きました」。しかし、調べてみると山下公園通りは電線の地中化工事が行われたのが早かったため、通りにはイベント用に使える電源がないことが判明。東京電力の協力により電気工事を短期間で行ってもらい、何とかスタートに間に合わせることができたという。参加者には、市内各所で特典が受けられる「参加証」が発行される。長く展示されることも考えれば、参加費3,000円という値段も高くはない。
こうした横浜の夜景に関する様々な情報を、横浜観光コンベンション・ビューローが今年度からとりまとめている。「横濱ブリリアントウェイ 煌く夜景プロジェクト」と題して、Webサイトやパンフレットで情報を発信している。
横濱ブリリアントウェイ 煌く夜景プロジェクト横浜は冬季に集客が落ちる傾向がある。市では、どうすれば冬の来街者を増やせるかを市内事業者とともに長年議論してきた。その最初の取り組みが、市内の夜景に関するイベント情報をとりまとめてPRしていく「横濱ブリリアントウェイ」だ。こうして情報がまとめられると、利用者にとっては便利だし、マスコミも取り上げやすくなるというわけだ。
横浜観光コンベンション・ビューロー事業部の小島さんは、夜景を軸に横浜が一つになり盛り上がりが生まれつつある様子をこう語る。「今年は、例年1月で終了してしまう『横濱ハーバーライトファンタジー』を2月まで延長していただいたり、海から見る夜景を楽しんでいただくため、シーバスの1月~3月の運行時間を例年より延長していただいたりと、各方面からご協力いただいています。来街者を増やすには、こうして地域が一つのテーマのもと連携し、街全体でホスピタリティを上げていく姿勢が何より重要だと思います」。
横濱ハーバーライトファンタジー 横浜クルージングクルーズ丸々さんが主任講師となり、夜景の魅力や撮影のコツなどの基礎的な知識を学ぶ「横浜夜景市民講座」も開講する。夜景を日常的に楽しむためのノウハウや夜景のトリビアなど気軽な夜景の楽しみ方を学ぶもので、一般市民が対象だ。デートで夜景のちょっとした薀蓄を語れると、ポイントも上がるというものだ。一方で、丸々さんはプロのサービス業の従事者向けの「横浜夜景ナビゲーター養成講座」も開講する。これはホテル関係者や旅行業者、交通関連などの仕事をしている人に「夜景の語り部」となってもらい、サービスに付加価値をつけることを目指したものだ。横浜夜景の奥深い魅力に触れ、仕事に活かしたい方はこちらをお勧めする。
横浜の夜景を知る「講座」-丸々もとおさんが監修・講師 横浜夜景市民講座、受講者募集中!JR東日本横浜支社もプロジェクトのPRに協力し、横浜の集客アップを支援している。1月の13日・14日・15日には首都圏の電車で大々的な中吊り広告を展開した。1月25日発行予定の新しいパンフレットは、東北、上信越、首都圏で17万部も配布するという。近くの駅のパンフレットラックなどで手に入るだろう。
まもなくパンフレット「春節号」発行JR東日本横浜支社営業部販売促進課の蟹山さんは、「遠方からも横浜にいかに足を運んでもらうかを考えています。それには街全体の魅力をPRする自治体と協力していくことが肝心。パンフレットに横浜都心臨海部の地図を入れたのも、横浜は初めてという人でも安心して観光できるようにするためです」と話す。
ここ数年で埼玉方面から横浜への来街者が増え続けている。きっかけは「高崎線、宇都宮線」と「東海道線・横須賀線」を、池袋・新宿経由で乗り入れる「湘南新宿ライン」の登場だ。「湘南新宿ライン」は2001年12月に運行開始、当初は昼中心の平日25往復体制だったが、ダイヤ改正により2002年12月に平日38往復体制になり、2004年10月には平日64往復体制へと大増発して早朝・夕方・夜も運行するようになった。その甲斐あって、横浜は首都圏のなかで「気軽に行き観光できる街」というイメージがここ数年で定着したといえるだろう。こうした横浜への誘客の流れをより広範囲に拡大していく狙いだ。
JR東日本横浜支社が作成している「横濱ブリリアントウェイ」の携帯サイトも情報が充実している。20歳の大学生女子、28歳のOL、45歳のチョイ不良オヤジの3人のキャラクターが、それぞれの注目スポットを口コミスタイルで紹介してくれる。横浜夜景のタイムリーな情報はここでチェックすると便利だ。
今年は例年以上の盛り上がりを見せている横浜夜景。ナイトビューデートをうまく活用すれば相手との親密度を上げることができる。「夜景を制する者がデートを制する」のかもしれない。