近年話題のエコの風は、自然と向きあいながら魚との繋がりを楽しむ釣り業界にも吹いている。各フィッシングギア・メーカーでは、自然環境にダメージを与えないラインやルアー、鉛を使用しないオモリなど、最先端の技術を駆使したフィッシングアイテムの開発が盛んに行われている。
第15回を迎える「国際フィッシングショー2010」でも『フィッシングはエコロジーなスポーツなんだ!』をテーマにしており、会場内では各ブースで最新の釣具をはじめとした、さまざまなアイテムが展示されており、多くの釣りファンの注目を集めていた。大型釣具店でも、これほど多くの新製品が一堂に集まり、手に取って確認できるところはないのではないだろうか。さらに、各ブースでは、専属のフィッシング・プロが、トークショーと同時にデモンストレーションを行っており、プロの技を間近に見ることができ「これなら釣れる!」と、コアな釣りファンを満足させる演出が工夫されていた。
パシフィコで国際フィッシングショー-国内最大級の釣りフェア(ヨコハマ経済新聞)
一方で、釣りの世界への第一歩を踏み出そうとする、次世代の釣りファンの拡大と育成を目的としたイベントや展示物にも同協会は力を入れている。
エンドユーザーも楽しめるイベントを導入したのが昨年からのこと。その中でも好評だったのが「釣りはじめてクン広場」だ。ここでは実際に魚とふれあうことができ、本物のマス釣りの釣堀や金魚すくい、どじょうすくい、ザリガニ釣りが体験できる。特に人気だったのがマスの釣堀。専門スタッフが丁寧に優しくレクチャーしてくれるので、釣りが初めての子どもでも40cm級のマスの「びくびく!ガツン!」という手応えを体感できたようだ。この感覚が、まさに釣りの世界へ踏み出す第一歩になることは間違いない。
さらに、そんな釣りファンへの一歩を踏み出した子どもたちの、お父さんお母さんに向けた「カンタン釣り塾」もできた。そこでは子どもも楽しめるビギナーにピッタリの釣りの方法や近郊の釣り場など、ベテランの釣り師からのレクチャーを受けることができ、これから釣りを始めるのに必要な情報がすべて手に入る。
また、これらの参加者には釣りのガイドブックや管理釣り場の入場券プレゼント、後日開催予定の釣りイベントへの招待券の抽選などが付いており、釣りファンになるための特典も盛りだくさんに用意されていた。
会場内での飲食は、釣りのイベントらしく「新鮮! お魚グルメパーク」コーナーが設けられていた。市場や水産業団体の協力によって、近海で水揚げされた新鮮な魚貝類を調理。またマグロの解体ショーも連日開催され、メニューにはマグロ丼をはじめ、海鮮どんぶりやアナゴの天丼なども。
そのほかにも「ワクワク!ウキウキ!大抽選会」、釣りの楽しみの一つ魚拓を豪快に作るコツを伝授してくれる「魚拓コーナー」、「水族館の人気おみやげ大集合」など、親子で一日中楽しんだ参加者も多かったのでは。
会場の中心には、特別ステージが設置されており「国際フィッシングショー2010」主催者のさまざまなイベントが開催された。今回、特に注目されていたのが、新企画の「アングラーズ・アイドル」公開審査会。一般公募により募集した女性から1名を「アングラーズ・アイドル2010」として日本釣用品工業会が認定し、釣り業界のイメージガールとして1年間活躍する。その最終審査会が2月13日に行われ、アイドルが生まれる瞬間を目にした参加者も多かったのでは。
そのほか、釣り好きの有名タレントや文化人を対象にした「ロイヤルアングラー賞」の発表や「クール・アングラーズ アワード」の公開授賞式も。今年はTVタレントの塚本高史さんが受賞し、2月14日にメインステージで表彰が行われた。
また、エコロジー標語大賞授賞式、年間大物大賞授賞式も2月13日に行われ、まさに盛りだくさんのイベント内容だったようだ。
昨年大好評だった企画として、今年も開催したのが女性アングラーのトークショーだ。TVや雑誌で活躍する女性アングラーによる釣り場でのお肌や髪のケアや、女性が釣りを楽しむための提案、モテ女の秘訣など、女性ならではのトークが満載。そのほか人気女性アングラーたちとの合同記念写真撮影も行われ、盛り上がりを見せていた。
そしてビギナーからコアな釣りファンにとって、何よりも嬉しいのが、TVや雑誌で活躍する名人の匠の技を間近に見ることができるイベントの「The Meizinのデモンストレーションセミナー」。もちろん、デモンストレーションだけでなく質問時間もあり、名人から直接アドバイスを受けた参加者も。名人直々の「スーパー釣りクリニック」、参加者には大いに参考になったに違いない。
自然や命とのふれあい、知力を駆使しての魚とのやり取りなど、総合的なレジャースポーツとしての?釣りの魅力?は、コアな釣りファンだけでなく、ビギナーはもちろん子どもたちにも広がりを見せている。そんな新たな釣りファンの期待にこたえ、来年からの「国際フィッシングショー」は、室内だけではなく、そこから飛び出し屋外にも展示スペースを広げ、さらに進んだ参加型のイベントにする計画だという(2011年3月25日、26日、27日の開催予定)。
また、海を身近に感じている横浜の人たちにも、もっともっと釣りに親しんでもらいたいという思いから、同イベントでは、MM21周辺のレストランや横浜近郊のレジャー施設の協賛を得て、今回の入場チケットの半券を割引クーポン券にしている。
この国際フィッシングショーを主催する日本釣用品工業会・事務局長の舘嘉明さんは「出展者や釣りに関連する業界だけではなく、釣りを通じて、少しでも横浜の活性化や発展に貢献していきたい。そして、新たな釣りファンが、安心して楽しめるフィールドを横浜にかぎらず全国で開拓していけたら…」と思いを語ってくれた。
海に面した横浜発のフィッシングイベントを、釣りファンはもちろん、ファンでない方も大いに楽しんでいた様子。イベントは盛況のうちに終了したが、これを機に未経験者もぜひ一度釣りにトライしてみては?
児玉由美 + ヨコハマ経済新聞編集部