最近、よくスマートフォンという言葉を聞く事になった。実際、2010年度のスマートフォン出荷台数は675万台と言われ,前年比2.9倍になっている(MM総研調べ)。読者の周りにもiPhoneやAndroidを使い始めた方は少なくないのではないだろうか。
現在いる場所の周辺の評判がいいラーメン屋を調べたり、目的地までの徒歩での所要時間を調べて、ナビゲーションとして使ったりするなど、スマートフォンがなかった頃に比べると、お出かけ時の情報収集が格段と便利になった。
そもそもスマートフォンは、パソコンと同様の高度なデータ処理機能を備えた高機能携帯端末を指す。ナビゲーション機能は、通信機能とデータ処理を組み合わせた形で提供されている。このような屋外の位置情報のナビゲーションサービスは、カーナビなど馴染みのあるサービスをいくつか思いつく方もいるだろう。一方、屋内の位置情報を使ったサービスはまだまだ少ない。本イベントでは、屋内の位置情報を使ったサービスがイベント内で展開される。
「G空間」とは「空間・時間」という位置情報と「地理情報」からなる地理空間情報のこと。カーナビやGoogle Mapなどで使われているGPSという技術では、機器と衛星が通信して、現在の位置情報を特定する方法が使われている。しかし、この方法だけだと、たとえば「今施設の何階にいるか?」という高度の情報を取得する事はできないという課題がある。
プロジェクトは、その課題を解決し「2013年までに誰もが地理空間情報を利用できる社会」を目指し、3次元データと緯度・経度・高さ・時間などの測位と情報を組み合わせ、サービスの高度化、利便性の向上などをめざすもの。クイーンズイーストでの実験実証は「経済産業省 平成22年度ITとサービスの融合による新市場創出促進事業」として開催される。
この「G空間」分野では、約10兆円の市場創出効果を狙っているという。昨年2010年に、プロジェクトの一環としてパシフィコ横浜で開催した「G空間EXPO」には、延べ43,763人が来場したという。この分野への関心の高さが伺える。
パシフィコ横浜で「G空間EXPO」-位置情報の世界を紹介(ヨコハマ経済新聞)
イベントを主催するのは、経済産業省から委託を受けている財団法人日本情報処理開発協会。
同協会の主席研究員の増田卓也さんは「カーナビなど屋内の位置情報サービスになじみがあると思うが、屋内での位置情報を使ったサービスはまだまだ少ない。 今回のイベントと実証実験では吹き抜けなどを含む複雑な空間がある商業施設で、リアルタイムに位置情報を測位し各種情報と結びつけた、新たなサービスの提案や人の行動の変化を測位情報で計測して検証を行う。最先端の屋内位置情報技術に触れ、体験できるので、ぜひ楽しみながら参加してほしい」と話す。
センサーやGPS、モバイル端末の技術が急速に普及したことで、さまざまな情報をリアルタイムに提供すると同時に、利用者からの情報を集めることが可能になった。
次に、今回サービスを開催する4企業のイベントをそれぞれ紹介する。
立体的なフロアマップと屋内測位基盤を連携させることで、現在いる場所にマッチしたリアルタイム情報を配信する「つぶやき地図体験!~屋内リアルタイムマップ」のサービスが体験できる。
来場者は、現在位置と時間に合わせ、現在位置付近の店から、特売やタイムセール、新入荷商品情報などのお得情報やお店への案内サービスを受けながら、ショッピングモールを回遊する事ができる。店舗側が、施設への来場者に対して、ピンポイントでリアルタイムな情報提供が可能となる技術により、来場者が求める有益な情報をタイムリーに提供できるのだ。
インディゴ株式会社が行うサービス実証で、Appleが提供するタブレット型端末「iPad」や、Googleが開発したOS「Android」を搭載したHTML5対応のWebブラウザを搭載したスマートフォンを使う。実施期間は2月8日11時~17時。
今の自分がいるフロアや、他のフロアのお店のPR情報などをゲットして、言葉によるナビゲーションで、スムーズにお店に案内するサービスを体験できるのが「言葉ナビゲーション!~屋内回遊支援サービス~」だ。
今回の実証実験用に開発したAndroidスマートフォン向けのアプリケーションにより、無線LANを使って屋内の位置情報を測り、文字や目印が層で直感的に分かりやすい道案内で、施設内の回遊を支援するほか、Twitterによる施設や店舗の口コミ情報と屋内位置情報を連携して、現在地周辺や他のフロアの「つぶやき」を提供する。
実証に使うのは、Android端末上で動作するAndroidアプリ。創業60年以上の空間情報の老舗の国際航業株式会社が提供する。期間は2月8日~11日の11時~17時。
施設内に設置された「CyberCode」を探して、スマートフォンをかざすと、対象店舗のおすすめ商品の紹介やおすすめ情報をゲットできるのが「モバイルAR体験!~GnGでスマートショッピング体験~」だ。施設内を歩いているだけで現在地周辺のおすすめ情報が画面に表示され、該当する店舗まで案内してくれるサービスを体験できる。
イベントの体験のためには、iPhoneをお持ちの方は『GnG(GET and GO: iPhone 版)』を、Android端末をお持ちの方は『GnG(GET and GO:Android 版)』をそれぞれインストールしておく必要がある。また、台数限定でAndroid端末「Xperia」の貸し出しもおこなう予定だ。クウジット株式会社が、2月12日~16日11時~17時に開催する。
携帯端末を持って施設内の所定スポットを巡る「携帯位置ゲーム!~屋内携帯スタンプラリー~」では、屋内での位置情報を利用したスタンプラリーゲームを体験できる。現実の施設と携帯端末の情報空間上のゲームを関連付ける事でエンターテインメント性が高まり、その中でスタンプを集めていくため、楽しみながら施設を回遊する事ができる。
スタンプラリーに参加するには「ケータイ国盗り合戦」への事前登録が必要となる。株式会社マピオンが、2月17日~20日11時~17時に開催する。
誰しもショッピングをしていて、タイムセールなどのお得情報やショッピング中には気付かなかった期間限定のショップがあったことなどを、家に帰った後に知って、悔しい思いをした事があるのではないだろうか。また、ショッピングモールなどの施設内で店への行き方がわからず、迷子になった経験もあると思う。
今回のイベントで体験できるのは、最先端の技術を使って、日常のショッピングにおける情報のやり取りを高度化し、必要な人に必要な情報が行き渡るようにする試みである。今回、適用される各サービスは、実際に導入される前の実証実験の段階のホットなサービスモデル。情報技術に興味がある人だけでなく、横浜界隈でショッピングする機会のある人は、未来のショッピングのカタチを是非体験して欲しい。
クイーンズイーストで屋内位置情報の実証実験-最先端技術を紹介(ヨコハマ経済新聞)
井形信+ヨコハマ経済新聞編集部