横浜市は、持続可能なグリーン社会の実現を目指すグローバルカンファレンス「第13回アジア・スマートシティ会議」を開催する。会議には、国内外から学術機関、企業、政府機関が参加し、都市の課題に対する先進的なソリューションを共有する。10月23日と24日の二日間にわたり、パシフィコ横浜ノース(横浜市西区みなとみらい1)で実施される。
アジア・スマートシティ会議は、横浜市が主催する唯一の国際会議であり、アジア諸都市の持続可能な都市づくりに関する知見や実践事例を共有する場として位置づけられている。2023年には45カ国・地域から参加があり、脱炭素社会の実現に向けた取り組みやビジネスの可能性を探るために多くのディスカッションが行われた。
今年も同様に、幅広い分野の専門家が一堂に会し、持続可能な未来を見据えた議論が展開され、世界のさまざまな知見(ベストプラクティス)を共有する。
キービジュアルは、国際会議で交わされる多様性あふれる議論を、 横浜のカモメがメディアとして世界に伝えるイメージで、緑=大地、青=空、水色=水のテーマが集約された横浜発の提言が、海を超え、言語を超えて、世界中へ広がっていくことを願ってデザインされた。
今回の会議では、脱炭素、モビリティ、半導体、サーキュラーエコノミー、ウェルビーング、次世代エネルギーなどのさまざまな分野で活躍する産官学のスペシャリストたちが登壇する18のセッションが行われる。講演や対話を通じて、新たな知見を得る機会を提供する。
Day1=23日(水)
1日目の23日は、山中竹春横浜市長とアンヘリカ・ヌニェスさん(世界銀行)、ラメシュ・スブラマニアムさん(アジア開発銀行)の3人によるオープニングセッションに続き、横浜で開催される国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」が掲げる問題意識を踏まえたセッション「幸せを創る明日の風景」の実現に向けて」が行われる。
SDGs達成やグリーン社会の実現を先導するため、「Nature-based Solution」=自然の力を活用した解決策という考え方のもと、「幸せを創る明日の風景」をテーマとしたA1クラス(最上位)の国際園芸博覧会は、私たちの生活に大きな影響をもたらす気候変動に着目した、環境と共生し、皆様と共につくる博覧会。2027年3月19日~ 9月26日に、圧倒的な花と緑で国内外からの来場者を迎え、グリーンイノベーションによる新しい社会のショーケースを示すことを目指している。セッションでは、博覧会が掲げる問題意識を踏まえ、企業、アカデミアなど、さまざまな視点から、EXPOに参画頂くことで広がる可能性・つながりを共有する。
「ウェルビーイングを向上する都市デザイン」と題したセッションでは、南雲岳彦さん(スマートシティ・インスティテュート 代表理事/横浜市立大学特任教授)、宮崎智之さん(横浜市立大学医学群教授・研究・産学連携推進センター拠点事業推進部門長)、三木はる香さん(世界銀行業務担当官)、イ・ジョンフンさん(延世大学教授)により、スマートシティや都市デザインの取り組みが、市民のウェルビーイング向上に貢献することの重要性のほか、横浜や韓国の先端事例を紹介し、バーチャル空間がウェルビーイングに与える影響や、市民のウェルビーイング向上を目指す公共空間やサイバー空間のあり方について議論する。
ビジネスキーノートは、イケア・ジャパン代表取締役社長 兼 CSOのペトラ・ファーレさんが務めるほか、INNOVEDIA代表で「横浜DX戦略」アドバイザーも務める内田裕子さんらによるセッション「次世代エネルギーの活用による脱炭素イノベーションの創出」、「港湾都市の脱炭素化」、「EVは本当に実用的なのか ~モビリティの2030年を考える~」、国際協力70周年の節目の年を迎えるJICAの取り組みを紹介する「最前線にて ~気候変動対策、そして前へ~」のほか、横浜市立大学と海外の大学の学生による都市課題解決戦略の共同提案発表セッション「インフォーマル市街地におけるレジリエンス」が開催される。
Day2=24日(木)
2日目の24日は、スペシャルキーノート「脳と人工知能、地球環境の間のアラインメントの未来」で幕を開ける。人工知能(AI)をいかして人類の明るい未来を切り開くために欠かせない、エネルギー問題を含めた地球環境への配慮や、人類のウェルビーイングと技術の間のアラインメント(調和)のこれからについて、脳科学者の茂木健一郎さんが話をする。
注目セッションは、脱炭素やサーキュラーエコノミーをテーマに活動してきた登壇者による「アジアのサーキュラーエコノミーハブとしての横浜の可能性」。横浜出身の若手経営者である加藤佑さん(ハーチ代表取締役)と関芳実さん(StockBase代表取締役)と、フランス出身のステファン・ル・ドゥさん(欧州ビジネス協会)が、横浜をアジアが誇るサーキュラーシティにするために必要なアクションなどについて語り合う。
セッション「Our Future is Here ~気候危機に共に立ち向かう~」は、GREEN×EXPO 2027の開催を契機に、自然・人・社会が「共に持続するための最適解」を探求し、アクションを起こすプラットフォームとして立ち上げられた「ヨコハマ未来創造会議」の参加ユースと、国連の専門機関である国際農業開発基金(IFAD)のミッションに共鳴し、持続可能な農業や食料システムを目指して立ち上がった「IFAD Youth Club」の参加ユースが、ローカルとグローバルの未来に向けたアイデアを発信し、知見を共有し、持続可能な未来について議論する。
そのほか、「気候変動に対応したスマートでレジリエントな都市の構築」、「横浜発!半導体オープンイノベーションの可能性」と題したセッション、2025年に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)パートナー事業「アフリカビジネスセッション」や、シティネットSDGs分科会セミナー「SDGsと気候変動対策のシナジー」も企画されている。これらの多様なセッションは、都市課題への取り組みや国際的なビジネスチャンスに焦点を当てた内容だ。2日間のセッションの最後は、山中市長による「都市が牽引する新たなグリーン社会の実現 ~アジア・スマートシティ会議が果たす役割~」という講演で締めくくられる。多彩なプログラムを通じ、アジア地域と共にグリーン社会の実現に向けた議論を深める場となるだろう。
会場には、「GX(グリーン トランスフォーメーション)」、「最先端技術」、「都市課題解決」、「イノベーション」をキーテーマに、約50の多彩な出展ブースが設けられており、持続可能なグリーン社会の実現に向けた先進的な技術やソリューションを発信する。ブースは、各企業や団体が最新の技術やサービスを紹介し、参加者とつながり、その場で詳細な説明を受け、具体的な課題解決に向けたディスカッションができる場として設けられる。
商談ブースの設置やビジネス交流会を通じて、参加者同士が直接対話し、新たなビジネスやイノベーションの創出に向けた出会いの機会が提供される。これにより、都市の課題解決に向けた実践的な取り組みや成功事例が共有されるだけでなく、国境を越えた連携が強化され、持続可能な社会の実現に向けた新たなビジネスチャンスが生まれることを目指している。
日本文化を楽しみながら交流ができる「DIVE IN UKIYO-E!®」は、迫力ある浮世絵や、きれいなモチーフの浮世絵と一緒に合成動画を生成できるデジタルフォトスポット型体験コーナー。映える写真やユニーク写真が撮れるだけでなく、浮世絵に描かれた風景や、人々の想像の世界にダイブインする体験ができるスポットだ。
また、「VR exhibition room for CITYNET SDGs Youth Activity!®」という、バーチャル空間の中に創られた展示会場を体験できる企画では、横浜市立みなとみらい本町小学校やモンゴル・ウランバートル第23学校の子どもたちが作成したSDGs(持続可能な開発目標)に関する作品が展示される。参加者はリアルな会場とは異なる仮想空間の中で、子どもたちの創造力あふれる作品を鑑賞することができ、SDGsの理念や達成に向けた取り組みについて、子どもたちの視点を通して学ぶ機会を得られる。バーチャル展示会場は、地理的な制約を超え、国際的なつながりを感じさせるもので、SDGsの普及活動の一環として、次世代を担う若者たちに持続可能な社会への理解を深めてもらうためのプラットフォームにもなるだろう。
第13回アジア・スマートシティ会議は、持続可能な都市づくりに向けた国際的な議論とビジネスマッチングの場として、多くの参加者にとって意義があり、都市の課題解決に向けた具体的なソリューションの共有、脱炭素社会への道筋を探る重要な機会となる。
横浜市は165年前の開港以来、常に革新を取り入れ、世界とのつながりを深めてきた。脱炭素社会の実現という地球規模の課題に向け、横浜は「アジアのグリーンハブ」として都市の連携を推進し、持続可能な未来に向けた取り組みをリードしている。アジア・スマートシティ会議を通じて、地域の課題を共有し、最先端技術やアイデアを交換することで、アジアの都市と共に、未来のグリーン社会を築くためのパートナーシップを強化してきた。横浜は、環境と経済の両立を目指し、さまざまな主体が連携して、世界に持続可能な都市モデルを発信し続けていくだろう。
<開催概要>
名称:第13回アジア・スマートシティ会議
開催日:2024年10月23日(水)・24日(木)
受付開始:9時、開場時間:9時30分、終了時間:23日=17時30分、24日=17時
会場:パシフィコ横浜ノース(横浜市西区みなとみらい1-1-1)
主催:横浜市
連携機関:アジア開発銀行研究所(ADBI)、国際協力機構(JICA)、スマートシティ・インスティテュート(SCI-J)、世界銀行東京開発ラーニングセンター(WB TDLC)、地球環境戦略研究機関(IGES)、YOKOHAMA URBAN SOLUTION ALLIANCE(YUSA)、横浜国立大学、横浜市立大学ほか
後援:内閣府、外務省、財務省、環境省、CITYNET、国際農業開発基金(IFAD)、国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所
参加費:無料
言語:英語・日本語(同時通訳あり)
詳細・参加申込:https://ascc13th.city.yokohama.lg.jp/