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横浜市旧市庁舎街区に誕生「BASEGATE横浜関内」 未来の横浜を創る新拠点

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 JR関内駅前で進行中の「横浜市旧市庁舎街区活用事業」。新しい街区「BASEGATE(ベースゲート)横浜関内」に建設中の高層ビルは、2025年12月に完成し、2026年春にグランドオープンを予定している。DeNAによるエデュテインメント施設「Wonderia」や日本最大級のライブビューイングアリーナ「THE LIVE」、星野リゾートのホテル「OMO7横浜」、ライフサイエンスの研究施設や、横浜最大級の環境配慮型オフィスなど、多様な施設が集結する横浜の新たなランドマークとなるプロジェクトの概要を紹介する。

 


高さ166.78メートルの高層複合ビルが2025年12月に完成

 
 横浜市中区港町1丁目に所在した横浜市庁舎跡地に整備する新街区「BASEGATE横浜関内」は、横浜市役所議会棟跡地に建てられる地上33階、地下1階、高さ166.78メートルの高層複合ビル、JR関内駅前のセントラルプラザと「ザ・ライブ」、1959年に横浜港の開港100周年記念事業の一環として建設された、建築家の故・村野藤吾氏が設計して横浜市庁舎の行政棟として使われていた建物「ザ レガシー」、横浜公園・横浜スタジアムに直結する「スタジアムサイドテラス」などで構成される。


「BASEGATE横浜関内」の街区名称に込めた想い

 
 「BASEGATE横浜関内」は、「BASE(拠点・起点・野球の塁)」と「GATE(玄関口・入口)」を組み合わせた名称で、開港以来、文化や人々の交流の場であった関内の歴史を踏まえつつ、新たな魅力が生まれる場所となることを目指している。

 ロゴデザインには、日常と非日常、歴史と未来を繋ぐ「ゲート(架け橋)」の意味が込められており、街区の建物の水平ラインを意識した独自のフォントが採用されている。DeNAがプロデュースし、外部パートナーの協力を得て制作・決定された。プロジェクトには、DeNAの渡辺義久さんと河原木雄基さんが携わり、クリエイティブチームとして「meet & meet」の小川晋作さん、小藥元さん、「AYOND」の佐々木俊さんが参加した。

 「B」と「E」をつなぐぐゲート部分は、来場者が新しい体験や感動と出会う入口を象徴するデザインとなっている。

 プロジェクトは、三井不動産を代表企業とし、鹿島建設、京浜急行電鉄、第一生命保険、竹中工務店、DeNA、東急、星野リゾートの8社が連携して推進。関内の新たな発展拠点として期待が高まる。


DeNAが手がける最先端エンターテインメント施設

 「BASEGATE横浜関内」には、DeNAグループが直営する2つのエンターテインメント施設が誕生する。

没入型エデュテインメント施設「Wonderia」

 「Wonderia(ワンダリア)」は、遊びとテクノロジーを融合させた新しいエデュテインメント施設で3~4階に展開。プロジェクションマッピングや最新デジタル技術を駆使し、訪れた人が没入感のある空間で絶景や未知の生物との遭遇を楽しめる。

 施設名は、「驚き」「好奇心」を意味する「wonder」と、「国や地名」を表す「-ria」を組み合わせた造語。ロゴデザインは、幅広い色彩と自然との調和を表現し、「Wonderia」島内の生物多様性を予感させるものとなっている。

 施設は6つのゾーンで構成され、スマートフォンを使って空間を撮影すると、環境や生物に関する情報を入手できる仕組みを導入。DeNAのゲーム事業で培ったノウハウを活かしたゲーミフィケーション要素も取り入れ、楽しみながら学べる体験を提供する。

 DeNAは、2011年のプロ野球参入以来、横浜スタジアムを「コミュニティボールパーク」として再構築し、関内・関外地区のにぎわい創出にも取り組んできた。「Wonderia」は、その知見を活かし、横浜に新たなエンターテインメントの拠点を生み出す。

日本最大級のライブビューイングアリーナ「THE LIVE」


 「THE LIVE」は、幅約18m、高さ約8mの大型LEDビジョンと高性能音響設備を備えた、約2,800平方メートルの日本最大級の常設型ライブビューイングアリーナだ。


 施設の最大の特徴は、横浜DeNAベイスターズの試合をはじめ、サッカーやバスケットボールなどのスポーツイベント、音楽ライブ、映画上映など、多彩なエンターテインメントコンテンツをライブビューイングで楽しめること。プロ野球のビジターゲームも放映し、横浜スタジアムでプロ野球の試合が開催される年間約70日に限らず、ファンが集まれる場となる。

 
 大型LEDビジョンを取り囲むフロアには、8つの飲食店とバーカウンター「CENTRAL BAR」を併設し、ライブビューイングを楽しみながら多様なフードやドリンクを味わえる。球場やライブ会場とは異なる、新しい観戦スタイルを提供する。


横浜初進出・星野リゾート「OMO7横浜」と新産業創造拠点

 ホテルエリアには、星野リゾートの「OMO7横浜」が開業する。OMOブランドは、地域と一体となった新感覚のホテルを展開しており、横浜初進出となる「OMO7」は、約280室を備え、カフェ・レストラン・バンケット・ローカルガイドアクティビティなどのサービスを提供する。

 横浜での滞在をより深く楽しむためのサービス「Go-KINJO(ごーきんじょ)」を展開し、街をよく知る「ご近所ガイド OMOレンジャー」によるガイドツアーを行うほか、ガイドブックには載っていないような街のディープな魅力を集めた「ご近所マップ」も提供する予定。また、館内のパブリックスペース「OMOベース」では、街歩きの前にスポットを調べたり、散策の合間にひと休みしたり、街歩きを楽しくする仕掛けを用意するという。


国内最大級、個性際立つ34の小型店舗が集うライブ感あふれる飲食ゾーン

   
 「BASEGATE横浜関内」には、多彩な飲食店が集結する国内最大級の小割飲食ゾーン「KANNAI バル街区」(仮称)を展開する。人との出会いや会話が生まれる店舗設計で、面積は7~8坪程度。全店にカウンター席を備える。 人との出会いや会話が生まれる店舗設計で、面積は7~8坪程度。全店にカウンター席を備える。「スタジアムサイドテラス」と旧市庁舎行政棟「ザ レガシー」1階の商業エリア内に設けられ、地元の繁盛店をはじめ、個性豊かな34店舗が集まり、新たな食文化の発信拠点となる。

 飲食ゾーンの特徴は、路地裏のようなライブ感あふれる空間演出。公募により決定した出店テナントが、それぞれ独自の個性を発揮しながら営業を行うことで、訪れるたびに新たな味と出会える楽しさを提供する。

 一人でも気軽に立ち寄れる店舗から、仲間とにぎやかに楽しめる飲食店まで、多様なニーズに対応。スポーツ観戦やライブイベントの前後に立ち寄るだけでなく、普段使いの食事スポットとしても親しまれることが期待される。

 横浜スタジアムの目の前という立地を活かし、試合観戦やイベント時には、にぎわいの中心地として機 能。横浜の食文化とエンターテインメントを融合させ、新たな魅力を発信する拠点となるだろう。


環境配慮型オフィスと横浜の未来を創る街づくり

 タワー棟6階には、三井不動産と、横浜市立大学特別教授の武部貴則さんが代表を務める一般社団法人STELLAR SCIENCE FOUNDATION(ステラ・サイエンス・ファウンデーション)が連携する「新産業創造拠点」が誕生。新産業創造のエコシステム構築を目指し、国際的な活躍が見込まれる次世代の研究者などに対する論文・ビジネス支援プログラムの実施や、異分野の研究者同士の交流イベント、投資家・産業界とのネットワークづくりの機会提供などの支援活動を行い、研究者のインベンション活性化を図る。ライフサイエンス領域の研究・開発拠点として、横浜の産業振興を後押しする施設が誕生する。

 三井不動産は、横浜で初めて展開する賃貸ラボ&オフィス「三井リンクラボ」として、最先端の賃貸ラボ&オフィスを整備し、研究者が自由に発想を育める環境を提供。オフィスやラボという「場の整備」と、「コミュニティの構築」を一体で提供する予定だ。


環境配慮型オフィスと横浜の未来を創る街づくり

 「BASEGATE横浜関内」には、関内エリア最大級の環境配慮型オフィスが整備される。オフィスフロアは、1フロア2,000㎡超の広大な無柱空間を確保し、天井高2.8mの開放的な設計。横浜港や横浜公園を望むスカイロビーには、木のぬくもりを感じるラウンジを併設し、企業間の交流を促進する。

 環境性能にも配慮し、Low-E複層ガラスや熱回収システムを導入。CASBEEウェルネスオフィスSランクやZEB Orientedの環境認証を取得し、持続可能なオフィス環境を実現する。

 また、横浜スタジアム・横浜公園方面とは、横浜市が整備するデッキで接続され、回遊性の向上を図る。「新旧融合」をコンセプトに、横浜市庁舎の行政棟として使われていた建物「ザ レガシー」を活用して、格式ある景観を継承。関内の歴史を未来につなぐ街づくりが進められている。


編集後記

 「BASEGATE横浜関内」は、関内エリアに新たな息吹を吹き込むプロジェクトだ。エンターテインメント、飲食、ホテル、オフィス、産業創造と、多彩な要素が融合し、横浜の新しい顔としての役割を担うことになるだろう。

 特に「THE LIVE」や「Wonderia」といった施設は、横浜のエンターテインメントシーンの進化を加速する可能性を秘めている。また、「OMO7横浜」の開業や、国内最大級の飲食ゾーンの誕生によって、観光や地域経済の活性化も期待される。

 関内エリアの再開発はさらに加速している。JR関内駅前に広がる「大通り公園1区~3区」の再整備は、2027年春の開園を予定。イベント広場やルーフトップテラス、プレイグラウンドなどが整備され、「BASEGATE横浜関内」につながる都市空間の創出により、関内・関外地区のにぎわいが一層高まることが期待される。

 さらに、旧横浜市庁舎の隣接地「関内駅前港町地区」では、高さ約150メートルの超高層複合ビルを整備する「関内駅前港町地区第一種市街地再開発事業」が進行中だ。三菱地所を代表企業とし、スターツコーポレーション、フジタ、ケン・コーポレーション、東急不動産からなるコンソーシアムが事業に参画。

 JR関内駅と尾上町通りの間の約1.4ヘクタールを再開発エリアとして、地区内の全てのビルを解体し、高層ビルを建設し、2029年度には完成する予定だ。オフィスや、ビジネス支援拠点、キャンパス、商業施設「くすのきテラス」と食のミュージアム、ハイグレードの賃貸施設などが入り、関内駅前の景観と利便性が大きく変わることになる。

 2026年の「BASEGATE横浜関内」開業、2027年の「大通り公園」リニューアル、そして2029年の「関内駅前港町地区」の超高層ビル完成へ向け、関内の未来は大きく変わろうとしている。これらの再開発がどのように地域の活性化につながっていくのか、JR関内駅周辺が「横浜の未来への玄関口」として、どのような機能をはたしていくのか。今後の展開を見守りたい。

旧横浜市庁舎跡地「BASEGATE横浜関内」に建設中の高層複合ビル
https://www.hamakei.com/photoflash/10595/

ヨコハマ経済新聞 編集部

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