横浜YWCA(横浜市中区山下町)は9月2日、Girls Rock Tokyo(ガールズロックトーキョー=GRT)と協働し「ジン制作ワークショップ」を開催した。YWCAが地域連携し、次世代の女性たちをエンパワメントする事業の一環で、8月末に岩間町市民プラザ(保土ケ谷区岩間町1) で実施した「ガールズロック デイキャンプ」と連動している。
「ジン」とは「MAGAZINE 」の「ZINE」から取られている。個人が、自分で表現したテキストや写真・イラスト・マンガなどのコンテンツを掲載し、自主的に制作されたごく少部数の簡易な小冊子を指す。営利追求が目的ではなく、若い女性たちを中心に「自由な表現とコミュニケーションの場」として多様な発信が展開されている。
今回の連携プログラムは、横浜YWCAが、若い女性たちの自己肯定感を高め、ネットワーキングを広げようと他県のYWCAと共同で2017年度からスタートした。
協働するGRTは、音楽の創造と演奏を通して自尊心を高め、仲間との支え合いを学ぶことを目的とした女性(自認者を含む)のためのデイ・キャンプを主催するボランティア・チーム。
これまで東京を中心に20歳以上の女性を対象に、初めての人同士が楽器を奏で、課題曲を練習してライブ演奏を行う1日限りの音楽ワークショップを展開してきたが、10代女性を対象にしたのは、横浜YWCAと共催した今回が初となる。
今回、GRTは、ガールズロックキャンプ同様、安全な環境で自分を表現し、他の女性たちと一緒にチャレンジすることを楽しむ時間を体験してもらおうと、ジンワークショップを企画した。
制作テーマは「わたしについて」。参加者13人が約3時間をかけ、自分の感性で選んだシールや包装紙、写真などさまざまな素材をA4の白紙に切り貼りし、「わたし」を表現するオリジナルのストーリーシートを完成させた。
このワークショップをサポートしたのは、GRTメンバーの西山敦子さんと、ジン文化に詳しい翻訳家の野中モモさん。西山さんは「女性だから『こうでなければ』と自制した表現を無意識にしてしまうことがある。そうした殻を打ち破るため、バンドなどの共同作業と今回のように1人でも作業ができるジン制作など、いくつかのプログラムを組み合わせる工夫をしている」と話す。
また、GRTの下珠季さんは「今回、横浜YWCAと共催できたことで、これまで接点を持ちにくかった10代の女の子たちに活動を体験してもらえた」とコラボレーションの成果を感じていた様子だった。
YWCAは、キリスト教を基盤に、世界中の女性が言語や文化の壁を越えて力を合わせ、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界の実現を目指す国際NGO。横浜では1913年に活動が始まり、さまざまなセミナー・講演会やコミュニティカフェ事業などを展開している。横浜YWCA会長の仲谷利理さんは「若い女性たちの活動を支援する拠点として、今後もこうした試みを継続していきたい」と話している。