ヨコハマ映画祭実行委員会は、映画ファンが主催する映画祭として知られる「第39回ヨコハマ映画祭」の開催に先駆け、2017年度の日本映画ベストテンと個人賞を発表した。
39回目を迎える同映画祭は、自治体やスポンサーからの支援を受けず、会社員や学生など日本映画ファンがボランティアで主催する映画祭。
グランプリは石井裕也監督の「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」。最果タヒの現代詩集「夜空はいつでも最高密度の青色だ」をドラマ化した恋愛映画で、東京を舞台に、都会の片隅に生きる若い男女を繊細に描く。同映画祭で作品賞、脚本賞、撮影賞、主演男優賞、最優秀新人賞の5冠を獲得した。
2位は三島有紀子監督「幼な子われらに生まれ」、3位は白石和彌監督「彼女がその名を知らない鳥たち」。以下、4位「あゝ、荒野 前・後篇」(岸善幸監督)、5位「彼女の人生は間違いじゃない」(廣木隆一監督)、6位「彼らが本気で編むときは、」(荻上直子監督)、7位「愚行録」(石川慶監督)、8位「三度目の殺人」(是枝裕和監督)、9位「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」(大根仁監督)、10位 「アウトレイジ 最終章」(北野武監督)と続く。
主演男優賞は「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の池松壮亮さん。主演女優賞は「彼女がその名を知らない鳥たち」の蒼井優さん。最優秀新人賞に輝いたのは、石橋静河さん(「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」)、岸井ゆきのさん(「おじいちゃん、死んじゃったって。」)。そのほか、「愚行録」の石川慶監督が森田芳光メモリアル新人監督賞、北野武監督作「アウトレイジ 最終章」に出演した西田敏行さんが特別大賞を受賞。今年の各賞は映画評論家、映画ファンなど37人の投票で決定した。
表彰式と上映会は、来年1月28日に神奈川県立音楽堂(横浜市西区紅葉ケ丘9)で開催される。当日は、「彼女がその名を知らない鳥たち」「幼な子われらに生まれ」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」の3作品を上映するほか、各賞受賞者やゲストを招いた表彰式などを開催。入場料は前売2,700円、当日3,000円。一般発売は12月17日9時5分から。詳細は同映画祭ホームページで。
ヨコハマ映画祭実行委員会の北見秋満さんは「邦画の『新しい波』はまちがいなく世界を見据えた若手監督が担っていることが今回の結果ではっきりした。少なくとも私のベストテンの9作品が30代から40代前半の監督作品で占められている。役者陣も若くてイキのいい、映画を重視している人たちが選ばれた。ところが一方で『アウトレイジ 最終章』の塩見三省、西田敏行の大ベテランが驚きの大逆襲で、若手を震え上がらせる貫禄を示した。そうしたバランスがまた今回のヨコハマの特徴になっているように思う」と語る。
同映画祭で審査員を務めるのは映画評論家や映画ライターなどの映画関係者と一般映画ファンで、映画人と映画ファンの出会いの場となっている。今年2月に行われた「第38回ヨコハマ映画祭」には、主演男優賞を受賞した三浦友和さんと柳楽優弥さん、主演女優賞の筒井真理子さんら映画人と1,100人の映画ファンが訪れた。