まちづくりの分野で全国的に活躍するコミュニティ・デザイナーの山崎亮さんが2月23日、横浜市開港記念会館(横浜市中区本町1)で講演会「地域の力でまちづくり」を行った。主催は中区役所。
横浜市開港記念会館のガイドボランティア「ジャックサポーターズ」
中区は2017年から市民企画型講座「なか区風おこせ!プロジェクト」を実施している。今年は地域への市民参加のきっかけをつくろうと「地域デビュー講座」が行われている。講演には、公募で集まった市民と同講座の受講者などが参加した。
設計事務所で建築系のデザインを担当していた山崎さんは、2005年にまちづくりや福祉分野でコミュニティデザインを手掛ける事務所「studio-L」(大阪府吹田市)を立ち上げた。建物などの「ハード」を作るより、その場所を利用・運営するコミュニティ=「ソフト」のマネジメントをしていく必要性を感じたという。コミュニティデザインをキーワードに、これまでに食・農・福祉・観光・アート・教育・環境・医療・防災などさまざまな分野のプロジェクトに携わってきた。
中区副区長の安藤浩幸さんは講演に先立ち「地域につながりが薄まってきている。ちょっとした時間を一緒に過ごす仲間がいるだけで人生が楽しくなる。この講演会が地域活動へ踏み出すための参考となれば」とあいさつした。
また、講演に先立ち、なか区民活動センター(中区日本大通34)で活動する「ジャックサポーターズ」「日本語ひろば」「なか区民クラブ」「ヨコハマパトナの会」「みなとまち童画の会」「NPOシニアSOHO横浜・神奈川」「国際交流横浜まどかグループ」の活動紹介が行われた。
山崎さんは「1995年あたりから、自分たちの町は自分たちの手で治めるという流れに変わってきた。これから『シェア』の概念による市民参加や、テクノロジーを活用した社会課題の解決が期待されている」と、現代が市民活動の形が変わりつつある時代であると話した。
「その活動が『正しい』と強調することよりも、楽しさ、美しさ、かっこよさという印象を与えることで人はアクションを起こす」と話し、地域活動に市民の参加を促す際の「見え方・見せ方」の工夫の大切さを語った。
満員の会場は、山崎さんの軽妙な口調と全国各地のユニークな事例に引き込まれ、終始笑いが絶えなかった。参加者からは「うなずける内容の話がたくさんあり、やる気がでてきた」などの感想が寄せられた。
講演会を企画した中区地域振興課の栗山昭子さんは「中区では地域のつながりづくりや人材発掘・育成に取り組んでいる。地域の中に入り、多岐にわたって活動されてきた山崎さんから、有意義な話が聞けると企画した。講演会が、何か次につながるきっかけになれば」と話す。
2月16日に第1回目を終えた全4回の「地域デビュー講座」は、NPO法人夢・コミュニティ・ネットワーク理事長の時任和子さんを講師に招き、3月2日・16日・23日に、なか区民活動センターで行われる。申込み・問い合わせは中区地域振興課(TEL 045-224-8137)まで。