アフリカ大陸南東部にあるマラウイ共和国出身のジャブラニ・リンジェ選手が、J3リーグのクラブ「Y.S.C.C.横浜」(運営・NPO法人横浜スポーツ&カルチャークラブ、横浜市中区本牧埠頭3)に入団した。同国出身のJリーガーは初。J2昇格を目指す同チームにとって、突破力あるストライカーとしての活躍が期待される。
リンジェ選手は1994年11月7日生まれ。2010年4月から2015年3月にマラウイ共和国のサッカーチームCivo United(シィーヴォユナイテッド)、同年4月から2018年1月にBE FORWARD WANDERERS FC(ビィ・フォア―ドワンダラーズFC)に所属し、FW、MFとしてプレーしてきた。
ビィ・フォアードワンダラーズFCのサポーターである日本企業のビィ・フォアード(東京都調布市)は、これまで4人の現地選手を日本に招聘し、Jリーグへの移籍を見据えたトライアウトや練習への参加を促進する活動を展開してきた。
2017年12月に行われたY.S.C.C.横浜のセレクションには、2人の選手が参加し、その1人であるFWのリンジェ選手が2年契約で2018年シーズンから日本プロサッカーチーム3部(J3)の横浜スポーツ&カルチャークラブ(Y.S.C.C.横浜)に入団することが決定した。
3月5日に行われた入団記者会見でリンジェ選手は、会見の始めに日本語で自己紹介した後「初めて日本に訪れたとき、互いに尊敬し合い、愛のあふれる人が多いと感じた。移籍の知らせを聞いた時は幸せに思った」と話した。
また「Y.S.C.C.横浜サポーターのみなさんにはぜひ試合に足を運んでもらい、私たちをサポートしてほしい」と話し、マラウイにいるファンに対しては「私はここで全力でがんばっているので、全力で応援してほしい」と話した。
世界でも後発開発途上国として知られるマラウイ共和国の子どもたちは、サッカーをして遊ぶのが主流だという。ビィ・フォアード社長室長兼広報グループマネージャーの丹龍太郎さんは「現地のサッカーチームはお金がないなかで運営されている。私たちのサポートが、彼らの役に立っていれば嬉しい。現地の若い世代の人が、リンジェ選手を目指して励んでくれたら。マラウイ共和国初のJリーガー。日本で活躍するのはもちろんのこと、そこから先へとさらに羽ばたいてほしい」と話す。
Y.S.C.C.横浜理事長の吉野次郎さんは「横浜市は、昨年から水道事業でマラウィ共和国と提携を結んでいる。2017年9月には、横浜市の救急車両をマラウイ共和国に提供するなど、国際的な貢献を積極的にしている。国際都市横浜にふさわしい交流をスポーツにおいてもしていきたい」と話す。
リンジェ選手を採用した経緯について「練習風景を見ていて、すばらしい技術を持っていると感じた。献身的に、真面目に取り組んでいたことも決め手となった。嬉しい限り」と話した。
ビィ・フォアードは2015年シーズンからワンダラーズFCのスポンサーとなり、マラウイ共和国初の日系プロサッカーチームを発足させた。2017年12月にはアフリカの日系チームとして初めて国内リーグ優勝を果たした。ビィ・フォアードワンダラーズFCの運営を通して、世界に通用する選手を育成し、マラウイのサッカーを盛り上げ、新興国の子どもたちが憧れて目指すような選手を誕生させることを目的として、運営されている。
Y.S.C.C.横浜は、横浜を拠点にする日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟するサッカーチーム。1986年に創設され、2002年にNPO法人としての認証を受け、2006年からは総合型地域スポーツクラブとして活動を展開、2014年にJリーグに入会した。横浜都心部をホームとする地域密着型のチームづくりを重視したプロサッカーチーム運営を志向するとともに、地域住民と深くつながるスポーツクラブを通じ、人間としての成長や育成のための事業を行っている。