JR横浜駅の西側に2棟のJR駅ビルが誕生する。JR横浜駅に直結するJR横浜タワーは5月30日、横浜駅と神奈川駅の間にできるJR横浜鶴屋町ビルは6月5日、それぞれのビルの商業施設がオープンする。
JR横浜タワーは2015年10月19日に着工。常に駅周辺のどこかで工事が続けられていることから「日本のサグラダ・ファミリア」とも呼ばれる横浜駅を象徴するかのように、4年以上をかけて建設していたタワービルが3月末、工事の完了を迎える。
地上26階、地下3階建て、高層階はオフィスで4月から順次稼働する。5月30日に低層階に商業施設「CIAL横浜」「NEWoMan横浜」、8~10階に9スクリーン1230席を備える映画館「T・ジョイ横浜」が開業。併せて、官民連携の「観光案内所」「横浜駅周辺総合防災センター」の運用も始まる。館内のスペースを利用し、大規模災害発生時に備え、滞留者1万人・帰宅困難者3000人の受け入れ体制を整備する。
1~4階は吹き抜けのアトリウムで、駅を出入りする電車を見下ろせる「街のラウンジ」を設けるほか、12階には横浜港や横浜ベイブリッジが一望できる屋上広場があるなど、オープンスペースも充実。12~13 階は会員制ワークスペース「STATION SWITCH」で、気軽に立ち寄る駅での新しい「働き方」や「生き方」も提案する。
横浜駅と街の回遊性を高めるため、ビルは東急東横線・みなとみらい線改札口前、相鉄ジョイナス、横浜モアーズ、きた西口広場などと接続。JR線中央北コンコースからビルの地下1階につながる新たな改札として「シァル改札」を新設する。
JR横浜鶴屋町ビルは2018年3月12日に着工。地上9階建て。4月1日に保育所を開所し、4月中旬に駐車場・駐輪場が営業開始。6月5日に宿泊特化型ホテル「JR東日本ホテルメッツ横浜」と商業施設「CIAL横浜ANNEX」がオープンし、同17日にフィットネスクラブ「ジェクサー・フィットネス&スパ横浜」が営業を始める。
2016年に書籍化された横浜駅をテーマにしたネット小説「横浜駅SF」の著者・柞刈湯葉(いすかり ゆば)さんは「現在他地域に生息しているため最新の駅構造事情を追えていないのですが、私が見ていた頃はずっと工事用の防音シートを被っていたので、卵が孵化するような感慨があります」と駅ビル完成を間近にした心境を述べた。
開業後、両ビルの連絡通路となるデッキの一部を別事業者が整備する計画で、JR横浜タワーとJR横浜鶴屋町ビルがつながる予定だが、開通時期は未定。JR横浜支社広報室担当者によると、両施設共4月以降も残工事の可能性があるという。