横浜ベイブルーイング(横浜市中区福富町東通2)は、店頭販売限定のビールを瓶詰めしたビールと、四川料理の老舗「重慶飯店」(山下町)とコラボレーションした「横浜応援セット『重慶飯店編』」を4月29日11時までの限定でオンライン販売する。
「飲食部門の休業により、行き場を失ってしまったビール達を瓶詰め製品にしました!」
横浜ベイブルーイングは、戸塚にクラフトビール製造の自社工場を持つ。社長の鈴木真也さんは「横浜を世界に通じるクラフトビアシティにすること」を目標に、毎年横浜で開催されるクラフトビールの祭典「JAPAN BREWERS CUP(ジャパンブルワーズカップ)」の実行委員長も務める。
新型コロナウイルスの影響を受け、店舗営業を休止していた4月8日、いよいよ立ちゆかなくなり、SNSに悲痛な投稿をした。「【一生のお願い】お店のみで売り出していた限定ビールを瓶ビールで販売する体制が整いました!飲食部門を全て休業してしまった弊社にはもうこの通販売り上げしかありません!!弊社存続のためにもどうかご協力お願いします!!」(原文ママ)
販売当初用意した瓶ビールは2000本。ラベル制作の予算も無く手描きで、鈴木さん自らラベルを手貼りした。絶体絶命からの延命策のつもりだったが、大当たりした。チェコで金賞を受賞したフラッグシップビール「ベイピルスナー」など店頭限定だった非加熱処理のたる生ビール12種類が冷蔵便で自宅に届くことから、ツイッターではリツイート数が7000を超え、8000本もの注文が入り、即日完売した。
自宅でクラフトビールを楽しむ需要があることを実感した鈴木さんは「自分の会社だけが助かっても意味が無い」と、友人の企業にも声を掛けた。六角橋のビアバー「ブーシェル」(神奈川区六角橋6)のスモークソーセージやパテなど4品と、野毛のクラフトビールとコーヒーのバー「Sakura Taps」(花咲町1)が扱う「Sakura燻製工房 燻製ミックスナッツ」を自社ビールとセットして「横浜応援セット」第1弾とした。無理なく製造可能な数量を考え、週に50セットのみの限定販売だったが、「全て職人の顔が見える、本当においしいセットができた」と満足のセットになった。
「横浜応援セット」第2弾は、27日に販売開始。1959(昭和34)年創業の老舗「重慶飯店」の四川料理、シューマイとマーボー豆腐とベイブルーイングビールのセットが自宅に届く。
そのほか、ビール会社同士で組む方法も模索。東京で自社醸造職人によるフレッシュなクラフトビールを造る「デビルクラフト」(東京都品川区)のビールと自社ビールを合わせた「ブルワリー支援セット」も販売。ブルワリーの垣根を越えるに当たっては、「再移出控除」という酒税法を適用した販売を行うことで、2社のビールを合わせたセットを作ることができた。
鈴木さんは「普段はそれぞれの店でしか味わえない組み合わせ。渾身(こんしん)の味をぜひ自宅で味わってみてほしい。すぐに売り切れてしまい謝ってばっかりだが、今回の件で皆さんの優しさ・愛情に触れ、すごく感動した。これからも期待に応えられるよう、おいしいビール、楽しいイベントを作っていこうと身が引き締まる思い」と話す。
セット商品では、ブルワリーや食品販売会社の支援を目的とするため、手数料を差し引いた全額がコラボする店の収益となる。