8月16日に営業を終了する港南台高島屋(横浜市港南区)は7月1日、「さよならセール」を開始した。カウントダウンボードや、港南台高島屋への思いを貼るメモリアルメッセージボードが設置された。
1983年港南台高島屋開店時 5000人以上が開店を待ち、たくさんの風船が空を舞った
同店は、1983年10月1日に横浜高島屋(西区南幸1)の支店として開業、2002年の組織改正後は横浜店の販売部に位置づけられている。2018年10月に35周年を迎えたが、売り上げ減少のため2019年10月に翌年閉店することを決めた。2019年2月期決算時の年間売り上げは約80億円で、バブル景気の崩壊が始まったと言われる1991年の約180億円と比べ、半分以下だった。
国勢調査の統計によると、港南区の人口は平成の30年間で常に21~22万人台で大きな増減はない。港南台は1960年代から開発されたニュータウンで、高島屋の関係者は「港南台店が開店したころは若い住人が多く、盆になると皆帰省して出て行き、街が閑散としていた。今は逆で、街で育った若者がお盆に戻ってくる街になった。それがニュータウン」と、街の構造としての高齢化について話す。
閉店日は計画通りとしたが、新型コロナウイルスの影響により「閉店セール」は自粛してきた。閉店まで50日を切り、緊急事態宣言解除から1か月たった7月1日、当初予定より1か月遅れで「さよならセール」を始めた。正面玄関にはカウントダウンボードを置き、外壁には「さよならセール」「36年間、たくさんの笑顔をありがとうございました」の懸垂幕を掲げた。
正面玄関には「港南台高島屋での思い出を記念に収めたい」との利用者の声を元に、フォトスポットを設置、開店当時の写真とともに記念撮影が可能。バーズ側の出入り口では店への思いを書き込むひまわり型のメッセージカードを置く。セールは通常と比べ什器(じゅうき)を少なめにし、通路を十分に確保するなど、混雑を避けるための配慮をする。
セール初日の午後、店員が来客に「メッセージカードを」と声を掛けると、客は「もうもらっているのよ。家で書いてきます。毎日来ていたの」が答えるやりとりが見られた。
店長の浅野秀樹さんは「36年間にわたり、地元のお客様を中心に多くの方に愛されてきた。残りの約40日間、ご来店いただくお客様ひとりひとりと向き合いながら、感謝の気持ちを伝えていきたい」と話す。
7月1日~14日=「さよならセール 第1弾」衣類・雑貨などの商品をそろえ、食料品売り場では通常取り扱いのない人気商品の期間限定販売などを実施。15日~28日=「さよならセール 第2弾」均一セールやまとめ買いセールなどを実施、29日~8月16日=「さよならセール 第3弾」最終売り尽くしセール、記念グッズの販売やプレゼントの実施。営業時間は10時~19時30分。