1937(昭12)年に建設された井土ケ谷上町町第一町内会館(横浜市南区)の復元工事が3月に完了、緊急事態宣言の解除を受け、6月から利用を開始した。
同館は昭和初期に芸者の稽古場所となる「見番」として建設、2015(平成27)年に横浜市歴史的建造物として登録、2018(平成30)年に認定され、現在は町内会館として使われている。
歴史的建造物としての認定理由は、井土ケ谷がかつて芸者の置屋が立ち並ぶ花街として栄えていた歴史を伝える建造物であり、玄関部は入母屋造(いりもやづくり)と呼ばれる伝統的な構造であること。
認定当時には外壁が金属製トタン板に改装されていたため、横浜市の助成金も利用して復元工事がなされ、建築当初の押縁下見板張(おしぶちしたみいたばり)の外壁が再現された 。
工事は2019(令和1)年の9月に開始、途中で耐震補強が必要なことが判明し、工期も予算も伸びたが、銀行借り入れをするなどして完成にこぎつけた。
町内会長の佐々木哲夫 さんは、「この街の歴史を知り、誇りと親しみを感じる場としたい」と完成を喜ぶ。
今後は町内外の住民から工事費の寄付を募る。寄付に関する問い合わせは、佐々木さん(TEL 045-741-3921)まで。
横浜市認定歴史的建造物は、横浜らしい個性と魅力ある都市景観を形成している歴史的建造物の保全・活用をすすめるために、横浜市の「歴史を生かしたまちづくり要綱」の規定により認定されるもので、現在96件が認定されている。