1968年から街頭公演を行い「伝説の大道芸人」と称されるギリヤーク尼ヶ崎さん(90歳)が10月11日、横浜港の大さん橋国際客船ターミナルで大道芸を行った。全国各地で青空舞踊公演を続けてきたが、新型ウイルスの影響を受け1年ぶりの公演となった。
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ギリヤークさんは心臓ペースメーカーを植え込んでいるほか、パーキンソン病と脊柱管狭窄症を患い、満身創痍で踊り続けている。三味線の音に合わせ車椅子で会場に登場し、創作舞踊「じょんがら一代」や、観客と共に踊る「よされ節」など5演目を披露した。
今回の公演が行われた横浜港では2月に、停泊中のダイヤモンドクルーズ号で新型コロナウイルスの集団感染が発生し700人を超える感染者と13人の死者が出た。最後の演目「念仏じょんがら」の前にギリヤークさんは「病で亡くなった世界中の全ての人のために、精魂込めて踊らせて頂きます」と宣言。死者への祈りを込めた「念仏じょんがら」で全身全霊の踊りを見せた。
終演後、100歳まで踊り続けることを誓い、亡き母の遺影を手に来場者への感謝の言葉を続けると、約600人の観客から盛大な拍手が送られた。
20年間公演に訪れているという川村恵美子さんは「生き様に感動した。神にあったような気分」、公演中ギリヤークさんに手を引かれ共に踊った看護師の太田みどりさんは「走っているかのような力強さだった。90歳の公演に少しでも関わることが出来て光栄」、東京から訪れ初めて芸を見た大学生は「20代の私よりずっとパワーがある。力をもらえた気がする」と感想を話した。
ギリヤークさんは90年の人生を振り返る記念映画「原点へ。」(仮題)を制作中で、年内の公開を目指す。コロナ禍で大道芸ができない間に、故郷などを訪れ、芸を極めようと立ち上がる姿を描く。