北仲ブリック&ホワイト(横浜市中区北仲通5)2階に6月に開業した和食料理店「日本料理きじま みなとみらい店」が、昔ながらの発酵調味料やサステナブルシーフードの使用、古い日本家屋の材を内装に活かすなど、食を通じた持続可能な取り組みを目指している。
横浜市を中心に店舗展開する「きじま」は戸塚区で創業、今年40周年を迎えた。2017年から「食を通じて持続可能な共同体の創造と発展に寄与する」ことを理念とし、無添加調味料への切り替えや、FSC(森林管理協議会)による認証を受けた山梨県産のヒノキを使用した箸を提供する。持続可能な水産物の利用促進をしており、2019年には管理された持続可能な漁業で獲られた水産物に与えられる「海のエコラベル」と称されるMSC(水産養殖管理協議会)認証や、責任ある養殖により生産された水産物を証明するASC(水産養殖管理協議会)認証を取得したシーフードを日本の和食店で初めて導入するなど、サステナブル化を進めてきた。
6店舗目となるみなとみらい店は、内装にも環境に良い材料を取り入れた。カウンターテーブルや木の床にFSC認証を取得した国産の木材を使用し、蔵戸(くらど)や欄間(らんま)などは明治時代に使われていたものを再利用した。また、2020年からは有機栽培・自然栽培の農産物や、動物福祉に配慮した方法で飼育された畜産物の利用を積極的に開始している。
以前からサステナブル食品に興味があったという事業戦略室長の杵島弘晃さんは、大学卒業後ニューヨークに渡り1年間現場で学んだ。帰国後、父で同社社長の杵島正光さんと100年先の食の在り方について話し合い、「きじま」でのサステナブルな食の提供にたどり着いた。
「安心・安全でおいしい和食を後世に伝えていくには、環境に配慮したサービスを提供すること。『美味しい和食と豊かな海を、未来もずっと』をスローガンに、食材にとどまらず、海洋汚染の原因である石油由来の洗剤の撤廃や環境印刷にも取り組んでいる」と弘晃さんは話す。
同社はサステナブル・シーフードの普及や日本の水産業の持続可能性に貢献したプロジェクトを表彰する第2回「ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」のファイナリストとしても選出されている。審査は現在進行中でチャンピオンは11月6日に発表される。
営業時間=11時~22時。