横浜シネマリン(横浜市中区長者町6)で11月21日から、引っ越し会社での労働争議を密着取材したドキュメンタリー映画「アリ地獄天国」(土屋トカチ監督)のアンコール上映がスタートする。
同作は関内の映像グループ「ローポジション」(中区長者町4)メンバーの土屋さんが2015年~2018年にかけて撮影。引っ越し会社の30代正社員が労働環境の改善を求めて個人加盟型の労働組合に加入し、会社と闘った3年間を記録した。2019年10月に「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で初上映し、横浜シネマリンでも4月と6月に上映された。
「貧困ジャーナリズム賞2019」、米ピッツバーグ大学「第2回日本ドキュメンタリー映画賞」グランプリを受賞するなど高く評価され、国内では主人公の置かれた劣悪な労働環境に共感の声、海外では驚きの声などが上がったという。
11月29日18時50分からの上映後には、映画会社アップリンク(東京都渋谷区)元従業員・パワハラ訴訟元原告のメンバーを招いた土屋監督とのスペシャルトークイベントを実施する。トークは映画本編と合わせ、オンラインでも配信(1,800円)を行う。
「フツーの仕事がしたい」「ブラック企業にご用心!」「コンビニの秘密」など、日本の労働問題に関する作品を多く手がけてきた土屋監督。「『アリ地獄天国』はミニシアター系で上映していただいている。そこで働く人々の、人権や健全な労働環境を守られていなかった、疎かにされた事実が発覚した。それに対して、無視したり、黙ったり、触れないことは、労働問題をテーマとした映画を制作してきた私にとっては裏切り行為でしかない。残念ながら、この事象は一劇場、一配給会社の問題ではなく、氷山の一角。これを契機により良い労働環境に生まれ変わること、それを一緒に考えていただけるイベントになることを切に願う」と話す。
上映は12月4日まで。初日21日10時からの上映後に土屋監督の舞台挨拶、22日10時からの上映後に映画監督の村上浩康さん(「流 ながれ」「東京干潟」)と土屋監督のトークイベントを行う。