新型コロナウイルス感染症が拡大する中でのメディアの役割と活動を考えるイベント「地域の編集2020-2021 コロナ禍におけるローカルメディア」が3月28日、ニュースパーク(日本新聞博物館=横浜市中区日本大通)で開かれ、ローカルメディアや地方紙に関わる人たちが議論した。
「2020年報道写真展」では決定的瞬間を捉えた写真300点を展示
同館が2019年10月~12月に開催した企画展「地域の編集-ローカルメディアのコミュニケーションデザイン」や同時開催したワークシップのその後を探る意味も込めて開いた同イベント。同展の企画に協力した影山裕樹さん(千十一編集室代表、『ローカルメディアのつくりかた』著者)がコーディネーターを務め、会場参加とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で進行した。
ウェブメディア「オホーツク島」運営者で、現在は拠点を札幌に移して活動する、さのかずやさんはオンラインで出演。「コロナで活動が無くなってしまうと地域の活動は発信できない。地域の活動を発信するメディアから、地域の活動体そのものとしてのメディアにならないといけない」と自らの活動の変化を紹介した。
横浜市政策局共創推進課の関口昌幸担当課長は「自治体が直接発信する情報もマスメディアを通して発信した情報も市民に届かなくなってきている」と指摘。NPOや民間と連携した新型コロナウイルス感染症に対応するプラットフォーム「おたがいハマ」について、「行政が持っている情報と市民の課題を共有するプラットフォームをつくろうとした」と説明した。議論の後半では「『おたがいハマ』はローカルメディア」と振り返った。
西日本新聞は20年ほど前から、読者の疑問を受けて取材する「あなたの特命取材班」の取り組みを続けている。同紙の福間慎一さん(オンライン出演)は、「コロナで困っていることを教えて」と呼び掛けたところ、学校で窓を開けて換気をしていても、教室で防寒着を着てはいけないという指示があることがわかり、記事化すると大きな反響があった事例を紹介。「新聞離れというが、離れているのは僕らでは」と提起した。
横浜でウェブメディア「森ノオト」運営を運営する北原まどかさんは「メディアリテラシー(メディアの役割やメディアを読み解く力)の大切さも紹介。影山さんや登壇者、ニュースパーク職員からは「定点観測のように、このイベントを毎年やっていきたい。来年度も引き続き実施したい」の発言が相次いだ。