横浜中華街の歴史を描いた「華のスミカ」が、大阪の門真市で開催された「門真国際映画祭2021」で、ドキュメンタリー部門の最優秀賞を受賞した。
「華のスミカ」は、華僑4世の林隆太監督のデビュー作。横浜には台湾系と大陸系の2つの中華学校があることに着目し、政治に翻弄されてきた華僑の苦難と葛藤の歴史や、共生の時代を歩む現在を描いた。
10日に開催された受賞式で林監督は、「日本に生まれた中国人が華僑。コロナになった当初、横浜中華街には『中国人は悪魔、帰れ』というようなことばも届いた。華僑4世の自分には、正直、中国に帰る場所もない。僕ら華僑のことを仲間と思ってもらえたらと願っている。この映画を少しでも多くの人に届けたい。僕が華僑という立場として国内の映画祭でこうした評価をされることには何か違った意味で、意味あるのかなと捉えている」とスピーチした。
横浜の六角橋商店街「ドッキリヤミ市場」での毎年5月の公演が恒例の大道芸人・ギリヤーク尼ヶ崎さんが監督・主演する記録映画「魂の踊り」も、ドキュメンタリー部門の優秀賞を受賞。あわせて「ダンス映像部門審査員特別賞」と「最優秀ケータリング賞」に輝いた。ドキュメンタリー部門の作品が、ダンス映像部門で受賞することは同映画祭初。
ギリヤークさんが特別審査員賞受賞で舞台にあがり「91歳まで生きてきてよかった」と目をうるませ、両手をあげると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
門真国際映画祭は、映画祭は門真国際映画祭運営事務局と門真国際映画祭ニューヨーク支部局が運営。映画部門、ドキュメンタリー部門、ダンス映像部門、舞台映像部門、海外作品部門がある。今年のコンペティションには、45の国と地域から1697作品の応募があり、うち79作品が映画祭で上映された。