水谷マンション(横浜市南区弘明寺町1)で10月16日、オープンルームを開催している。建築家らがリノベーションした105、204、302、307、309号室を見学することができる。
商店街と大岡川に面した105号室は2019年から「アキナイガーデン」として、「商い暮らし」をテーマにしたシェア店舗として運営されている。同店のオーナーは、309号室に住む建築家の梅村陽一郎さんと神永侑子さん夫妻。「1階にカフェのある店舗の2階に暮らすことが夢だった」と話し、自ら1階のカフェに立つ日も。住み暮らす309号室「洞窟のある家」には、中央に洞窟のような空間を作り、窓のある部屋には弘明寺の土で作った机や、陶器を粉砕して作った机を置くなどインテリアにもこだわる。
302号室は「大地と育つ家」。スタジオオンサイトの森詩央里さんが、自ら、土壁に牛糞やワラを混ぜて発酵させて建材を作り、手のひらで壁に塗り込んだ。森さんは「普段デザインを担当する建築のプロジェクトでは、既製品の材料を買い、施工は職人がするが、1から建材を作り、塗りながら暮らしている。すみかが自分のからだの延長のような気持ちで、本当に心地良い」と話す。コンクリート打ちっぱなしのままの壁には「今後、草木染で色を付けたい」とも。
307号室の「rough house」はYADOKARI(中区日ノ出町2)に勤務する川口直人さんの部屋。同居人とここに暮らして半年ほど。YADOKARIでは「Tinys Yokohama Hinodecho」などを手掛ける。
204号室の「水谷基地」には、すべての部屋で共通で使うことのできる日当たりのよい広いリビングがある。204号室の住人のひとり、オンデザイン(中区相生町3)の千代田彩華さんはハンモックに揺られながら「帰ってくるといつもこのリビングに来るんです」と笑う。
水谷ビルを所有する不動産会社「泰有社」(南区弘明寺町)の伊藤康文さんは「ライフスタイルが多様化する中、賃貸マンションの部屋にそのまま住むだけでなく、暮らし方をどうカスタマイズするか。アーティスト・クリエイターに、原状回復しないでよい条件で借りてもらうことで、自由にデザインできるようにしている」という。
オープンルームは18時まで。