お三の宮日枝神社(横浜市南区山王町5)で12月5日、社宝千貫(せんがん)みこしの修繕に向けた奉告祭と御魂(みたま)抜きが行われた。
千貫みこしは1934(昭和9)年に制作された。制作から90年近くがたち、基礎部分から装飾部分まで修繕が必要な箇所が多く見られるようになってきたという。そのため同社が創建350年を迎える2023年に合わせて全面的な復元修繕を行う。
修繕に当たり、修繕事業の開始を神前で報告する奉告祭と、みこしの中にある御霊代(みたましろ)を取り出す御魂抜きが行われた。御霊代とは神様の依り代。例祭で市中を巡行する際は御霊入れを行って御霊代に神様を宿し、終了後に御魂抜きを行って本殿に戻ってもらう。今回は長期の修繕に入るため、御霊代そのものを抜き取った。
修繕はできる限り元の素材を残し、木材の補強や彫刻類の欠損箇所の修復、再鍍金を行う。布地が劣化して弱くなった飾りひもは新調するという。みこし庫も同時に改修し、耐火・耐震を施す。
修繕期間は2023年7月まで。そのため2022年9月の例大祭では千貫みこしの巡行は行われない。例年イセザキモール周辺で行う巡行はコロナ禍により2年連続で中止となっており、次の巡行予定は2023年9月の例大祭となる。同社権禰宜の本道友里さんは「3年連続で皆さまの目に触れる機会が無くなるが、令和5年のお披露目の際には一緒に盛大にお祝いしていただければ」と話す。
一般的に、みこしは制作から40~50年で総修理を行う。千貫みこしは1985(昭和60)年に一部修繕されている。