映画館「シネマ・ジャック&ベティ」(横浜市中区若葉町3)が、12月21日に30周年を迎える。
同館は、1952(昭和27)年に開館の「横浜名画座」を引き継ぐ形で、1991(平成3)年12月21日に「シネマ・ジャック&ベティ」(以下ジャック&ベティ)としてリニューアルオープン。映画祭などを行う名画座「ジャック」と、単館系の新作ロードショー館「ベティ」の2つのスクリーンを運用。現在はミニシアターとして、新作・旧作、話題作からアート系作品まで幅広い映画を上映している。
30周年を記念し、「30周年記念映画」として横浜で製作した映画「誰かの花」を上映、あわせて横浜が舞台の林海象さん監督の映画「私立探偵 濱マイク」シリーズの上映を行う。
映画「誰かの花」は、横浜生まれ・横浜育ちの奥田裕介さんが監督。ほとんどのシーンを横浜市内で撮影した。出演は、カトウシンスケさん(小路紘史監督「ケンとカズ」などに出演)、吉行和子さん(大島渚監督「愛の亡霊」など)、高橋長英さん(伊丹十三監督「マルサの女」など)ら実力派俳優と、横浜に縁の深い俳優の大石吾朗さん、渡辺梓さん、寉岡萌希さん、堀春菜さん、笠松七海さんなどが参加している。同作は11月に「第34回東京国際映画祭『アジアの未来部門』」に正式出品された。
奥田さんは「小学生の頃、母親に連れられ、イラン映画や台湾映画をジャック&ベティで観て、帰り道に伊勢佐木町を歩きながら、考察を語り合った。映画を観たことで想像力が広がり、会話やコミュニケーションが生まれ、観た人自身が完成させる。そういった経験が私の『映画の原体験』」と話し、30周年の映画を作るにあたっては「『ジャック&ベティで上映していて欲しい映画』を目指した」という。
「私立探偵 濱マイク」シリーズは、「横浜名画座」の姉妹館「横浜日劇」(2005年閉館)の2階に事務所を構え、妹と共に暮らしているという設定で、主演は永瀬正敏さん。上映作品は、12月18日=「我が人生最悪の時」「遥かな時代の階段を」「罠」、12月22日=「我が人生最悪の時」、12月23日=「遥かな時代の階段を」、12月24日=
「我が人生最悪の時」「遥かな時代の階段を」「罠」。
ジャック&ベティの支配人の梶原俊幸さんは「日頃から映画館を支えていただいているお客さんや、映画関係者の皆さまとともに、30周年に立ちあえることをとてもうれしく思う。新型コロナウイルスの影響で、まだ厳しい時期が続いておりますが、なんとか乗り越えなくては、と強く思っております」と話し、30周年記念映画の「誰かの花」は「鑑賞後に余韻が残り、観た人の中で完成するような作品で、まさにミニシアターで上映するに相応しい作品。このような作品の上映を続けるべきと、30周年の節目に気持ちを新たにしました。ぜひご覧ください」と来場を呼び掛ける。
「誰かの花」は12月18日~24日まで先行上映し18・19・21日は舞台あいさつも行う。本公開は2022年1月29日から。