横浜郵船ビル(横浜市中区海岸通3)の日本郵船歴史博物館は、ビルの大規模改修工事に伴い、4月1日から休館する。
横浜の近代建築として知られる横浜郵船ビルは、関東大震災で被災した日本郵船初代横浜支店に代わり、創業50周年記念事業の一環で1936(昭和11)年に建てられた。設計は建築家の和田順顕さん、正面にはコリント式の大オーダーと呼ばれる列柱が16本立ち並ぶ。
3階には事務部属員養成所が設けられ、客船に乗船する司厨員(コックやボーイ)のはビル内で教育を受けた後、各船に配属された。太平洋戦争では空襲を免れ、戦後は一時GHQに接収、返還後は再び日本郵船の横浜支店となり、2・3階は現在もオフィスビルとして使われている。
1階部分は2003(平成15)年に竣工当時の姿に復元され、1993(平成5)年に開館した「日本郵船歴史資料館」が「日本郵船歴史博物館」として移転。船積み書類などを発行したカウンターや金庫室の頑丈な扉は、建築当初から今に残る。
休館前最後の企画展は「また会いましょう- 横浜郵船ビル写真展」。博物館内で開催し、屋上の船の入出港を見るための塔屋など、船会社特有の設備を含めた建物内部を写真で紹介している。
18日と23日は「館長代理による常設展解説」を14時から実施。1875(明治8)年に日本初の外国航路となる横浜-上海定期航路の開設など、開国以降現在までの郵船の歴史を展示に沿って解説する。要予約。
担当学芸員は「ビルは今年で87年、現役のオフィスビルとして使われてきた建物の中を見られる貴重な機会。天井や照明などの意匠も見てほしい」と話す。再開館は2026年10月頃を予定するが、再開館後の博物館の場所などの詳細は未定。
入館料は大人=400円、65歳以上と中高生=250円、小学生以下=無料。開館時間は10時~17時、月曜休館。3月31日まで。