横浜市金沢区で5月9日9時ごろ、タヌキの赤ちゃんが保護された。
タヌキを見つけたのは飼い主のいない「地域猫」を世話している有志。道ばたでカラスに襲われそうだったところを見かけ、「猫の赤ちゃん」だと思い、ハンカチにくるんで保護した後、横浜市金沢区役所の生活衛生課に連絡。区担当者はケージに入れて小動物を引き取った。
地域猫の世話に関わり、区役所に引き渡す前の様子を写真に撮った同区在住の写真家・西沢千晶さんは帰宅後、撮った写真を見返し、猫にしては鼻が長すぎると感じた。「これ猫じゃない。犬では? 顔が尖(とが)りすぎ」と思った後、「犬でもないようにも見える」と区役所に経過を問い合わせた。
保護された小動物は区役所から動物愛護センター(神奈川区菅田町)に移送後、タヌキであることが判明。同日、よこはま動物園ズーラシア(旭区上白根町)に移され、飼育されることになった。
動物愛護センターでは、獣医の資格を持った職員が犬・猫の保護を主に行う。担当職員によると、犬と猫では対応が異なり、飼い主のいない犬を見かけた場合、犬は登録されているはずなので、まず遺失物として飼い主を探す。狂犬病の可能性も疑われることもあり、見かけたら手を触れず、警察への連絡が望ましいという。
猫の場合、親猫は保護対象ではなく、けがをしている場合や、乳飲み子で親が見当たらないなど自力での生存が危ぶまれる場合に保護する。保護が必要な猫を見かけたら区役所の生活衛生課まで連絡すれば、対応するという。生活衛生課の担当者は「子猫を見つけてた時は、親猫が一時的に離れている可能性もある。連絡前にしばらく見守って」とアドバイスする。
担当職員はセンターにタヌキが運ばれるのは「年に1度あるかどうかの珍しいこと」で、「タヌキは鳥獣保護管理法で保護されているため、野生に戻すのが原則。今回の個体はまだ小さいため動物園で保護するが、成長したら野生に戻すことも考えられる」という。
西沢さんは「可能なら動物園に会いに行ってみたい」と話す。