横浜市は1915(大正4)年創設の西谷浄水場(横浜市保土ケ谷区川島)で、創設された当時から場内に残る歴史的建造物6棟の、曳家(ひきや)工事による移設を開始した。
西谷浄水場は、相模湖を水源とし、現在の浄水能力は1日当たり約36万平方メートル(横浜スタジアム約1.1杯分)で、浄水処理された水は、主に鶴見、神奈川、西、中、南、保土ケ谷各区方面に給水されている。
6棟は、レンガ造り建屋の歴史的価値や浄水場らしいのびやかな景観等が評価され、1997(平成9)年に国の有形文化財に登録。西谷浄水場は耐震化や処理能力増強を目的とした再整備を経て新たに生まれ変わるが、市は場内の歴史的建造物を貴重な文化遺産として捉え、影響のない場所に移設し、後世に引き継いでいくための工事を進めている。
工事名は「西谷浄水場再整備事業(浄水処理施設)に係る整備工事」、設計・施工者は「大成・水 ing エンジニアリング・シンフォニアテクノロジー・NJS
異業種建設共同企業体」、工事内容は耐震補強工事、屋根などの補修工事、レールを敷設し通路まで建屋を移動させる工事(移動距離=約10メートル)、「多軸台車」と呼ばれる車両に建屋を乗せ、通路から目的地まで移動させる工事(同約100メートル)。
レールを敷設した移動は10月17日頃、多軸台車での移動は12月頃の予定。
曳家工事完了後は市民の皆様への一般公開も予定。工事期間は2022年4月~2032年度まで。