パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1)が3月27日、生理用ナプキン無償提供の実証実験を始める。
実証実験では、シャープが開発中の「生理用ナプキンIoTディスペンサー」と日本カルミックのサニタリーボックス「サニッコ」を同施設内の女子トイレに設置する。イベントや会議での同施設来場者に、生理用ナプキンの無償配布から廃棄までを衛生的に行える環境を提供し、利用状況や満足度、機器の稼働状況を調査・分析するのが狙い。
ディスペンサーはセンサーに手をかざすことで取り出し口が開き、生理用ナプキンを取り出すことができる機器。取り出し口をナプキン1枚のみを取り出すのに適した幅に調整することで、衛生面に配慮すると同時に大量の持ち去りも防ぐ。今回の実証実験では開発中の試作機を使う。
サニッコは非接触でナプキンを廃棄できるサニタリーボックスで、「日本全国約1万軒の施設や企業で約14万台が稼働中」だという。
同施設は「国立大ホール」「会議センター」「展示ホール」「アネックスホール」「ノース」から成る複合施設。それぞれの施設のうち各1カ所の女子トイレで実証実験を行う。ディスペンサーは洗面スペースと特定の個室内に各箇所2台ずつ設置、サニッコは全ての個室内に設置する。ディスペンサーの横には利用者アンケートのためのQRコードを掲示し、利用者の声を集める予定。
同施設はサステナビリティー取り組み方針の一つとして「誰もが安心して利用できる場の提供」を掲げており、今回の実証実験もその一環。事業推進部事業・安全推進課担当課長の近藤淳奈さんは「女性の来場者は、これまで何かあればナプキンを買いにコンビニまで走らなければいけなかった。会議や講演の時間が迫っていて買いにいけないケースもある。『これが当たり前だ』と思って我慢してしまう人も多く、これまであまり表に出てこなかった課題だが、この取り組みが解決につながれば」と話す。
実証実験は5月31日まで。終了後は得られたデータを基に検証を行う。「大型MICE施設での実証実験は日本初で、どのくらい利用されるのかなど、やってみなくては分からないことも多い。施設ごとの特徴やイベントのタイプ、来場者の属性によって利用状況に違いが出る可能性もある。まずは結果を確認して今後の判断をしたい」(近藤さん)という。