
横浜元町のクリフサイド(横浜市中区元町2)で10月7日、日本ではめずらしい「グナワ灌頂(かんちょう)儀礼」が開催された。モロッコの伝統音楽「グナワ」と、その霊的儀礼「リラ」が披露され、観客は異文化の神聖な体験をした。
イベントを主催したのは、モロッコの文化と遺産の保存を目指す団体「Association of Pure Energy Morocco(APEM)」。APEMは「交流を通じて変化を」というビジョンを掲げ、国際的な音楽フェスティバルやグナワ音楽を用いたヒーリングセラピーを提供している。毎年モロッコのエッサウィラで開催される「Gnaoua & World Music Festival」への日本人の参加を促し、文化交流の促進にも力を入れている。2023年9月に発生したモロッコ大震災の被災地を支援するため、横浜でチャリティイベントを開催した。
グナワ音楽は、リズムに根ざした独特の音色が特徴であり、ゲンブリ(三弦ベース)やカラクブ(鉄製のカスタネット)が使われる。リラの儀礼では、音楽が参加者をトランス状態に導き、精神的な浄化と癒しを提供する。このような本格的なグナワの儀礼が日本で開催されることは非常に稀であり、モロッコ文化に興味を持つ人々にとって貴重な機会となる。
儀礼には3人のグナワ・マスターは、APEMのファウンダーであるカリム・バッジさん、ユネス・ハディルさん、アフメド・バスカさん。
APEMはグナワ音楽の保存と継承を目的とする「グナワアカデミー」も運営しており、ワークショップやパフォーマンスを通じて次世代に伝統を伝えている。また、モロッコの職人による自然素材を使った工芸品を販売する「ナチュラリーハンドメイド」や、持続可能な観光を推進する「ピュアエナジーツーリズム」など、多岐にわたる文化保存と交流の活動を行っている。