横浜の中心市街地にアーティストやクリエーターの居場所を創り出していくプロジェクト「芸術不動産」が今年中の本格始動へ向け活動を開始し、現在開催中のアートイベント「Landmark Project II」と連携し、「本町ビルシゴカイ」(中区本町5)に拠点をオープンした。
同プロジェクトは、横浜にアーティスト・クリエーターの創造拠点を作り、彼らの手によりその不動産価値を上昇させていくことを目指し、2004年に都市プランナーの櫻井淳さん、建築家の佐々木龍郎さん、横浜市立大学の鈴木伸治準教授の3人が立ち上げた。「アーティスト・クリエーターへの不動産紹介」と「建物オーナーへの入居アーティスト紹介」という相互のマッチングを行い、老朽化したオフィスビルや空き倉庫など、通常不動産価値が著しく低下したように思える空間をアーティスト、クリエーターが再生することで、「新しい・きれい・広い」という一般的な評価基準とは異なる不動産の付加価値を創り出すのが目的。
現在は、空きビルの調査とオーナーとの家賃交渉、横浜での活動を希望するアーティストのリスト作成など、組織化に向けた準備を進めるほか、イベント期間中の3月2日、16日、30日に、本町ビルシゴカイ402号「芸術不動産本部」にてアーティスト・クリエーターとオーナーとの情報交換の場「芸術不動産サロン」を開催する。
各回のテーマとゲストは、2日「関内の可能性/関外の可能性」、櫻井淳さん(櫻井淳計画工房)、鈴木伸治さん(横浜市立大学準教授)。16日「不動産事業者から見た芸術不動産」、濱田健司さん(スリーアイコーポレーション)、吉里裕也さん(スピーク/R不動産運営)。30日「オーナー×アーティスト×建築家」、山田重夫さん(神田山房ビルオーナー)、浅井裕介さん(アーティスト)、西田司さん(建築家・オンデザインパートナーズ)。開催時間は各日ともに18時30分~20時30分。
プロジェクトメンバーの櫻井さんは、「横浜は、狭い範囲に新宿と浅草と渋谷と銀座が存在するような面白さがあり、アーティストに人気。入居の需要はある。アーティストがアトリエを設け一般に開放することで、ビルが人の注目を集め、活性化することを大家さんに理解してもらう努力を続ける。現在交渉中の物件もあり、事例作りとオーナーの成功例を地道に作りたい」と話している。既に入居可能な物件も2件あるという。
芸術不動産本部は3月31日に一旦閉鎖し、今年中に正式に組織・空間を整備しスタートする予定。問い合わせは芸術不動産準備事務局(TEL 045-663-9271、Eメール spa@ss.iij4u.or.jp)まで。