開港後、横浜・東京で輸出用に盛んに制作された陶磁器の企画展「横浜・東京-明治の輸出陶磁器」が4月26日より、神奈川県立歴史博物館(横浜市中区南仲通、TEL 045-201-0926)で開催されている。
明治時代欧米で人気を集めた横浜の陶磁器は、絵画を陶磁器上に描いたような大胆な絵付や、奇抜なデザイン、細緻を極めるや細工が施されいるのが特徴。外国人向けに作成されたもので、一般的な陶磁器に見られる『侘びさび』を体言する趣とは異なるユニークな作品が多い。これまで制作されたもののほとんどが海外に渡り、日本で目にすることが少なく、粗雑で悪趣味な土産物という意味を込めて「ハマヤキ」などと呼ばれることもあった。しかし、近年は収集家により外国から買い戻され、陶工・宮川香山の真葛焼をはじめクオリティの高さが注目を集めているという。
企画展では、忠臣蔵の一場面が描かれたティーセットや、猫や猿のコミカルな動き表現した作品など真葛焼収集家・研究者の田邊哲人さんが集めた作品を中心に約150点を展示している。
田邊さんは「外国への土産物のごときに論ずる人もいるが、手抜きのない作品群は先達の真摯(しんし)な物作りへの姿勢を感じることができるのでは」とコメントを寄せている。
開館時間は9時30分~17時(金曜は20時まで)。月曜休館。観覧料は大人=800円、20歳未満・学生=500円。6月22日まで。