BankART1929 YOKOHAMA(横浜市中区本町)で6月14日、広島県・灰塚のダム建設にまつわるドキュメント映画「船、山にのぼる」(本田孝義監督)が上映される。BankART1929のメンバーが取り組んだアートプロジェクトを記録した作品で、会場では現地の伝統芸能のパフォーマンスも披露される。
同映画は、広島県北東部の山々に囲まれた灰塚地域のダム建設を契機に建築家などで構成するユニット「PHスタジオ」が取り組んだ「船をつくる話」プロジェクトを追ったもの。自然と文化を結びつけ美しいダム湖を残そうと1994年に始動したこのプロジェクトは、ダムに沈んでしまう灰塚地域の丸太2,700本を使って、船(長さ60メートル、幅12メートル、高さ3メートル)を制作し、ダム完成時に行なわれる湛水実験(ダムのもっとも高いレベルまで水を貯める実験)で船を山頂まで移動させるというもの。作品の中ではプロジェクトの発端からの完成までの12年間を描いている。本田監督は「初めは巨大な船を作り山にのせることにどのような意味があるのかよく分かっていなかったが、映画が完成してみて、このプロジェクトが何であったのか分かってきたように思う」とコメントを寄せている。
上映会では、祝いごとなどの際に演奏される現地の神楽「三谿神楽(みたにかぐら)」を伝承する灰塚神楽団を招き「神楽とトークと映画の会」も行う。
BankART1929の代表でPHスタジオ主宰・池田修さんは「今回登場する神楽団は、PHスタジオを公私にわたって支えてくれた人たちで、船のプロジェクトは、彼らとともに進行したといってもいいぐらいです。PHスタジオとしては久しぶりの作品発表の場になるので、ぜひたくさんの方に来てほしい」と話す。
開催時間は上映=17時~18時28分、神楽=18時30分~19時10分、交流会=19時20分~20時。参加費=2,000円(映画上映以外の参加は1,000円)。