横浜市は10月30日、2009年に開催する「2009 国際的芸術祭映像展(仮称)」で全体の調整・管理を行うディレクターが、東京都現代美術館学芸員の住友文彦さんに決定したことを発表した。
同映像展は、映像分野のさまざまなジャンルの作品を上映・展示するもので、現在開催中の現代美術展「横浜トリエンナーレ2008」のメーン会場として新設された「新港ピア」のほか都心臨海部の複数会場で、2009年11月から4週間程度開催される予定。
住友さんは、東京大学大学院を卒業後、ワコールアートセンターが運営する「スパイラル」、「金沢21世紀美術館」、「NTTインターコミュニケーション・センター」(ICC)などを経て、現在、東京都現代美術館の企画課企画係長。NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウの理事や、横浜市にある東京芸術大学大学院映像研究科の非常勤講師も務めている。2005年の「アート・ミーツ・メディア:知覚の冒険」展(ICC)や、2008年の「川俣正〔通路〕」展(東京都現代美術館)を学芸員として担当している。今回、複数のディレクター候補者による企画コンペにより住友さんに決まった。
ディレクター就任にあたって住友さんは「最近は、写真から動画まで自由に撮影や編集ができる技術を、誰もが扱えるようになりました。今こそ、映像と関わる新しい創造力に目を凝らし、世界中の人々と映像について語り合うような場をつくる時期でしょう。日本における写真発祥の地・横浜を舞台に、分野や立場の違うさまざまな人々が集う、他にはない芸術祭を開催しますので期待してください」とコメントを寄せている。
横浜市は、文化芸術・経済の振興と横浜らしい魅力的な都市空間形成というソフトとハードの施策を融合させた新たな都市ビジョン「クリエイティブシティ・ヨコハマ」の実現に向け、「映像文化都市・横浜」の取組を継続的に国内外に発信する取組として新たな国際的芸術祭映像展の開催を準備している。
2006年に始まった映像フェスティバル「ヨコハマEIZONE」を最先端の国際的映像展として拡大し、関連イベントとして10月にアニメーションのフェスティバル、12月にコンピューターグラフィックスとインタラクティブ技術の国際会議・展示会「SIGGRAPH ASIA(シーグラフ アジア)」などのイベントや映画祭を併せて開催し、「横浜発」のクリエイターの発掘や、今後成長が期待される映画、アニメなどのコンテンツやエンターテインメント分野などの創造的産業の集積・活性化を目指す。
同展開催に向け、今年度は、横浜市を中心に組織委員会(仮称)の立ち上げ、ディレクターの選任、市民ボランティアやNPOなどの自主的活動への支援などの取り組みに、4,200万円の予算があてられている。
同展を担当する横浜市開港150周年・創造都市事業本部創造都市推進課担当課長の日詰雄治さんは「このような複数ジャンルの作品を同時に扱う大規模な映像展は日本でもほかに例がない。開港150周年の節目の年に開催する映像の祭典に期待してほしい」と話す。