神奈川近代文学館(横浜市中区山手町110)は、横浜開港150周年を記念して、特別展「森鴎外展-近代の扉をひらく」を開催している。
同展は、「舞姫」「高瀬舟」など多くの名作を残し、横浜市歌の作詞家でもある森鴎外の人生の軌跡を辿る貴重な資料を数多く展示。今年が、横浜開港150周年であるとともに、横浜市歌が作られてから100周年であることを記念して企画された。
森鴎外は、22歳の時に横浜港からドイツ留学に出発。軍医としての医学研究のかたわらヨーロッパ文学に魅了され、帰国後に記した多くの著作により日本に西欧文学の息吹をもたらした。横浜港は鴎外にとって文学者としての出発点であり、横浜開港50周年を記念して作られた横浜市歌の作詞を手がけるなど、ゆかり深い地でもある。
同展では、「横浜からの出航」を第1部とした3部構成により、「舞姫」にまつわるエピソードや家族との交流についても紹介。戦時中に妻にあてて書いた直筆の手紙や自筆原稿、遺言書など貴重な資料を100点以上展示している。
5月30日・31日には、港の見える丘公園沈床花壇付近でミニコンサートを開催。鴎外が校歌の作詞をした横浜商業高校の生徒による横浜市歌や同校校歌などの演奏と合唱が行われる。開演は13時、参加無料。
神奈川近代文学館の野見山陽子さんは「横浜港から世界に羽ばたいた森鴎外には、横浜との強い結びつきがあります。官僚としてのイメージも強ですが、彼が残した手紙や日記を見ることで、より身近な人間らしい一面が感じられると思います」と話す。
開催時間は9時30分~17時00分。閉館日は月曜。入場料は大人600円、学生300円(高校生以下65才以上無料)。開催は6月7日まで。
神奈川近代文学館は、1984年の開館以来50回以上の企画展を開催。常設展と年2回の特別展により、神奈川にゆかりのある作家や文学作品を紹介している。また、図書、雑誌、特別資料あわせて100万点を超える文学資料を所蔵しており、近代日本文学専門の資料館としても発展。資料は閲覧室で利用できる。