BankART Studio NYK(横浜市中区海岸通3)で、今年103歳を迎える世界的舞踏家の大野一雄さんをたたえる「大野一雄フェスティバル2009」を開催している。主催は「BankART1929」と「大野一雄舞踏研究所」。
大野一雄さんは全身を白塗りにし「人間の内面」を表現する踊りで独自のスタイルを確立する横浜在住の舞踏家。同フェスティバルは大野一雄さんの名を冠した身体表現の祭典として2004年より開催しており、今年で6回目となる。
今年のフェスティバルでは、「過去」に目を向け、1930年代の天才京劇俳優程硯秋(チェン・イエンチウ)、1945年代のモダンダンス、1959年舞踏の原点の「禁色」に焦点をあて、大野さんの息子の慶人さんらが、現在の視点からアプローチを試みる。
9月26日、27日には香港の実験演劇集団「ズニ・イコサヘドロン」が来日し、程硯秋(チェン・イエンチウ)の生き方を捉え直したコンテンポラリー北京オペラ「Tears of Barren Hill(荒山泪)」が上演された。
また特別企画として、大野一雄さんと親交もあり、今年急逝したピナ・バウシュさんを追悼する「RESPECT PINA BAUSCH」を開催。ピナ・バウシュさんはドイツのバレエダンサーで、演劇とダンスの境界線を取り払った「タンツテアター」という独自の舞踊芸術を確立した振付家。同企画では、ピナ・バウシュさんに関する写真、映像、書籍の展示と専修大学教授の貫成人さんによる「ピナ・バウシュとタンツテアター」と題した講演が行われる。
大野さんら舞踏家や芸術家が集い舞踏を研究する「大野一雄舞踏研究所」の溝端俊夫さんは「今回は過去に目を向けるというテーマがありますが、例えば禁色に関しては、50年前の作品を再演するのではなく『work in progress』禁色は今も継続しているという認識で3日間連続で、徹底解剖します。その他の公演も、過去を振り返るだけでなく今の視点でとらえ直す試みをします」と話す。
大野一雄フェスティバル2009の開催は10月18日まで。問い合わせはBankART1929(TEL 045-663-2812)まで。