BankART Studio NYK(横浜市中区海岸通3)で、シアタープロジェクト・東京(TPT)による演劇公演「血の婚礼」が開催されている。
「血の婚礼」は、劇詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカによる戯曲で、1933年にスペインのマドリッドで初演されてヒットした悲劇。当時好まれなかった古い民謡のリズム、踊り、音楽を組み込み、他国アルゼンチンでも人気を集めた。
ストーリーは、実際に起きた殺人事件をベースに、夫と息子を殺された一家に残った、もう一人の息子の結婚話に始まる。結婚式の最中、花嫁がひとりの男と抜け出してしまう。男は、花婿の父親と兄を殺した一族の人間で、過去に花嫁と関係を持っていた。人間のあらがえない運命や命の叫びを、ラテンの動きで表現している。
振付はTPTでミュージカル・ワークショップを開催しているアルゼンチン出身の演出、振付家グスタヴォ・ザジャクさん、出演は、母親役に大沼百合子さん、花婿役に山田ジルソンさん、花嫁役に呂美さんほか。照明は笠原俊幸さん、舞台美術は、現在BankART NYKで舞台美術のワークショップを開催している朝倉摂さん。音楽はかりんさんの25絃箏、パーカッションと、綿田健一さんのベースによるアコースティック演奏。
TPTは、英国人演出家のデヴィッド・ルヴォーさんとプロデューサー門井均さんらによる「新しい日本の演劇の創造」を目指し活動する演劇団体。1993年から東京の隅田川付近の染色会社「紅三」の元染色工場ボイラー室を使った「ベニサン・ピット/ベニサン・スタジオ」を拠点としていた。
TPTスタッフは「前世紀的な価値観に限界を感じ現代を生きている人にとって、情熱と貞節と母性をめぐるこの劇は一見メロドラマ風だが、本能のままに生き、心の支えとなるものではないか」と話す。
BankART Studio NYKで、全席指定=4,500円、学生=3,000円。開催は10月18日まで。