旧東急桜木町駅舎を改装したアートスポット「創造空間9001」(横浜市中区桜木町1)で、「いけにえ」展が開催されている。
同展は、横浜を拠点に活動する造形作家の齋藤良さんとアーティスト杉山孝貴さんによる二人展。壁面や空間を利用したインスタレーション展示で、5つの作品を通して「いけにえ」とはどのようなものか来場者に問いかける。
作品は、ティッシュペーパーと紙を素材にした「ゆらめく国」、モニターと洗面台で表現された「ためいき / 永続する言葉」、ビニール・バケツ・モーター・水による作品「エクトプラズム」(齋藤さん)。鉄を素材にした「心のテロリスト」、映像インスタレーション「虫の横断歩道」(杉山さん)。
作品「ゆらめく国」は、もとの壁色に自然に溶け込む「ホワイトカラー」を基調にした壁面インスタレーション。引き抜く行為自体に「ユーモア」と「哀しみ」という風刺的な意味をあわせ持つ「ティッシュペーパー」を素材に用い、日本の国会議事堂をイメージした形を構成した。壁面を装飾するティッシュの繊細な陰影や向きはゆらめきを表現する。
「心のテロリスト」は、ひとが人間として成長する過程で不可欠な相手との「心のぶつかり合い」をテーマにしたもの。作品には現代の男性に向けた「力強さ」というメッセージが込められている。存在感のある巨大な剣には約400~500キログラムの「鉄」を利用し、制作期間は約2か月。剣はアーティスト・杉山さん自身で、その心を「いけにえ」として世間に提供したという。
齋藤さんは「タイトルがたとえ『いけにえ』であっても、最終的にモノとして完成する作品はきれいなものであってほしいという思いで制作しています。このご時世ですが、しばし喧騒と離れてじっくりと作品を楽しみ、ゆったりした時間を過ごしてもらえれば」。また、作品「心のテロリスト」について杉山さんは「特に男性に見てほしい」と語る。
開催時間は11時~20時で入場無料。1月17日まで。