横浜都市発展記念館(横浜市中区日本大通12、TEL 045-663-2424)で、横浜生まれの近代産業を紹介する企画展「西洋館とフランス瓦」が開催されている。
開港以後の洋風建築を特徴づける要素として、日本にはなかった煉瓦(れんが)や西洋瓦(フランス瓦)などの建設材料があげられる。幕末に来日したフランス人の実業家アルフレッド・ジェラールは、横浜山手に瓦工場を建設し、日本で初めてフランス瓦を製造した。
同展では、フランス瓦誕生の地の「山手のジェラール工場」を中心に、洋風建築の広がりの背景にあった黎明期の近代産業のすがたを紹介する。
展示は「ジェラールが伝えたフランス瓦」「横浜近郊の煉瓦工場」「発掘がすすむ近代遺跡」の3構成。
展示品は、御幸煉瓦製造所の鉄製銘板(川崎市市民ミュージアム所蔵)、画像「山本煉瓦製造所での作業風景」(高橋秀和さん所蔵)、フランス瓦の木製押型(植竹康之さん所蔵)、ジェラール煉瓦I型(同館所蔵)、銅版画に描かれたジェラール工場「日本絵入商人録」(横浜開港資料館所蔵)、青木周蔵那須別邸使用の和風煙道管(那須塩原市所蔵)、アメリカ海軍病院跡出土遺物(同館所蔵)ほか。
ジェラールの工場は蒸気機関を備えた近代設備が整い、彼の名前を刻んだフランス瓦や煉瓦、土管を製造していた。発掘調査などから、ジェラールの瓦は当時、横浜居留地を中心に多くの西洋館の屋根を彩り、東京方面にも広がっていたことが分かっている。
会場は横浜都市発展記念館の3階企画展示室。開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。入館料は一般500円、小・中学生250円。開催は5月9日まで。