市民団体「『ザ・コーヴ』上映を支持する会・横浜」は6月29日、横浜市開港記念会館(横浜市中区本町1)で「賛同者の集い」を開催した。
『ザ・コーヴ』は、和歌山県太地町のイルカ漁を批判的に取り上げた米ドキュメンタリー映画。この映画を巡っては、太地町などが「事実誤認」と反発。上映に対しても抗議が相次ぎ、東京・大阪の映画館で中止される事態が続いていたが、配給会社が今月21日、全国計22館で上映することを発表した。
横浜では「横浜ニューテアトル」(中区伊勢佐木町2)が、7月3日から上映を予定。同館周辺では、上映に反対する団体が抗議活動を行っていた。横浜地裁は抗議活動をした東京都内の団体に対し、今月24日付で、映画館周辺での大声など営業妨害行為となる街宣活動を禁じる仮処分決定をしている。
「賛同者の集い」には同館支配人・長谷川喜行さんを含めアーティストや市民活動家など約30人が参加。会場では「圧力に対して一市民として映画をみたいということを意思表示する必要がある」「映画をみた上で判断したい」「映画をみる、みないは自分自身で判断するものだ。人から判断されるものではない」などの意見が上がった。参加者からは、表現の自由の危機が次々と指摘された。
桜美林大学准教授で「賛同者の集い」のコーディネーターを務めた和田昌樹さんは「周りに迷惑を掛けるだろうという市民的良識を逆手にとって議論そのものを封殺する状況はどうしても許したくない」と話す。
また、同館支配人の長谷川さんは「今までは上映反対派の声しか耳に入ってきませんでした。今日ここに来て『映画をみたい』という声を聞いて救われました。上映当日はお客さんが緊張せずに安心して映画をみることのできる万全の態勢を整えたいと思っています。世間をお騒がせしまして申し訳ありません」と話した。
「『ザ・コーヴ』上映を支持する会・横浜」はネット配信の市民メディア「ポートサイド・ステーション」のスタッフらが呼びかけて結成された市民団体。現在110人超の賛同者を集めている。