映像文化の発信拠点「野毛Hana*Hana」(横浜市中区花咲町1)で8月25日、かつて横浜・野毛にあった老舗ジャズ喫茶「ちぐさ」のアーカイヴプロジェクト実行委員会の会議が開かれた。
ちぐさアーカイヴプロジェクト実行委員会は今年6月、ジャズ喫茶「ちぐさ」の残された資料を保存・活用するために立ち上げられた。野毛のまちの人々、ジャズや音響の専門家らで構成され、サウンドディレクターで東京藝術大学で講師を勤める川崎義博さんが委員長を務める。
「ちぐさ」が横浜市中区野毛町に開業したのは1933年。「名物店長」と呼ばれていた吉田衛さんが、野毛に当時あった「純喫茶」を買い取り、「ジャズ喫茶」として営業をスタート。途中、吉田さんが戦争に召集され「横浜大空襲」により店舗が焼失した時期もあったが、吉田さんが復員後に再開し、ジャズを愛する多くの常連客に親しまれていた。1994年に吉田さんが亡くなった後も親族と有志により店は続けられていたが、2007年1月に惜しまれつつ73年の歴史を閉じた。
市内の倉庫に保管されていた、店のオーディオ機器や、5,000枚を超える貴重なレコードなどが、今回、野毛地区全域の活性化と振興を推進する「野毛地区街づくり会」(中区宮川町1)に寄贈され、アナログ資料のデジタルアーカイブ化とイベントの開催が検討されてきた。
同プロジェクト実行委員長の川崎さんは「『ちぐさ』は野毛、横浜だけでなく、日本ジャズ界にも大きな影響を与えた存在。その資料を後世に残していくことが大切」と同プロジェクトの意義を唱え、「営業当時に常連だった方々はもちろん、ちぐさを『伝説』として認識している若い世代にもアピールしたい」と抱負を語った。
同プロジェクトは今後、資料のデジタルアーカイブ化作業を進めるとともに、秋に行われる日本最大級のジャズイベント「横濱ジャズプロムナード」(主催:横濱ジャズプロムナード実行委員会)開催中の10日間(10月8日~17日)、同イベントとのコラボレーションプログラムとして、「ちぐさの店舗を原寸大で再現・展示」する企画を予定している。
同イベントに関する問合せは、野毛Hana*Hana内「ちぐさアーカイヴプロジェクト」(TEL 045-325-8123)まで。