シネマ・ジャック&ベティ(横浜市中区若葉町3)で9月18日より、アートの視点から戦後の日米関係を振り返るドキュメンタリー映画「ANPO」が公開される。
「ANPO」(2010年、アメリカ/日本)は、日本で生まれ育ったアメリカ人のリンダ・ホーグランド監督が、60年安保を知るアーティストたちの証言と作品を通して、日本とアメリカの関係の問い直しを日本人に迫るドキュメンタリー。映画の中では、横須賀で育ち、横須賀や広島を題材に作品を発表している石内都さんら多くのアーティストが登場し、横須賀などの基地問題など、安保に関連する多くの話題が語られている。
同作品で監督・プロデューサーを務めたリンダさんは「世界的に日本の近代アートは映画を含めて高く評価されていますが、露骨に戦争の記憶や米軍基地問題と向き合った作品はほとんど知られていません。私は、世界にこの素晴らしい『文化遺産』を紹介したいと思ったと同時に、日本の若い人にも知って欲しいと思いました。日本にも『抵抗』の歴史があり、その『抵抗』を世界級のアートとして表現し続けているアーティスト達がいることを」とコメントしている。
9月19日(19時15分の回上映後)には、ニューヨーク在住のリンダ監督と同作に出演する写真家・石内都さんによるトークショーを実施。リンダ監督は公開に合わせて来日する。
シネマ・ジャック&ベティの梶原俊幸支配人は「『ANPO』は当初、東京での上映は決まっていましたが、横浜・横須賀を含め神奈川県では上映が決まっていませんでした。シネマ・ジャック& ベティでは、横浜・横須賀方面、あるいは神奈川県の多くの皆様にこの映画をご覧いただきたいと、上映を決めました」と話す。
チケットは一般1,500円、大学・高校生1,300円、小・中・シニア1,000円。終了日未定。
リンダさんは、日本で生まれ、山口と愛媛で宣教師の娘として育った。日本の公立の小中学校に通い、アメリカのエール大学を卒業。2007年に日本で公開された映画「TOKKO/特攻」ではプロデューサーを勤め、旧特攻隊員の真相を追求した。黒沢明さん、宮崎駿さん、深作欣ニさん、大島渚さん、阪本順治さん、是枝弘和さん、黒沢清さん、西川美和さんら監督の映画200本以上の英語字幕を制作している。